7月23日、天皇陛下と美智子さまは、福島県福島市の温泉宿『吉川屋』で名産品の桃を召し上がられた。
「当日、天皇皇后両陛下は、桑折町の桃生産農家を視察される予定でした。しかし、前日の22日から福島県内で大雨による被害があったため、“洪水で福島の皆さんが困難な状況にあるとき、私的な旅行を続けるべきではない”と考えられ、視察も中止されたのです」(皇室担当記者)
宿泊所となった吉川屋では桃生産農家と懇談され、風評被害などについて聞かれたり、召し上がった桃のご感想を話されたりした。
22日・23日の福島県ご訪問は、あくまでも“私的なご旅行”ということになっている。
しかし、居住制限区域で操業している工場のご視察などのスケジュールからも明らかなように、実質的には“被災地のお見舞い”にほかならないという。
なぜ宮内庁は、福島県ご訪問が私的なご旅行であることを強調しているのか。それには被災地全域に寄せる両陛下の深いご配慮もあるようだ。
皇室ジャーナリストの松崎敏弥さんは言う。
「これまで両陛下は、東日本大震災で被害が甚大だった3県、岩手県・宮城県・福島県をちょうど2回ずつお見舞いされています。
それが福島県だけが3回ということになると、”両陛下は福島県を特に重要視している”と、受け取られかねません。両陛下は“それでは岩手県や宮城県に申し訳ない”と、お考えになったようです。いかにも平等を旨とされている、両陛下らしいご配慮だと思います」
また、ある宮内庁関係者は言う。
「大震災発生から2年4カ月になりますが、いまだに天皇皇后両陛下は、御所での節電に励まれています。
冷房を止められることもしばしばあり、お部屋のなかで汗ばまれていることもあるそうです。いまも故郷に帰れず、避難をしている被災者も大勢います。そうした被災者の苦難を、少しでも分かち合いたちとお考えなのでしょう」