2月23日に59歳の誕生日を迎えられた皇太子さま。幼少期からのご学友である小山泰生(たいせい)さん(59)と乃万暢敏(のま・のぶとし)さん(59)、学習院大学のゼミや音楽部で後輩だった竹内尚子さん(58)が、懐かしのエピソードを語り合った。
乃万「小山は幼稚園から殿下とご一緒だったわけだけれど、そのころから特別な方だと思っていた?」
小山「いや、実はそんな感覚はなかったんだ。初めて東宮御所に招かれたときの話をよく聞かれるけれど、だいたいほかの友達の家も大きいから、東宮御所だけが特別広いとも思わなかったよ」
――皇太子さまのことはなんとお呼びしていたのですか。
小山「幼稚園のときは『宮ちゃまとお呼びしなさい』と先生に言われました」
乃万「初等科では『宮さま』でした。中学になってからはすっと『殿下』ですね」
《少年時代は生真面目なご印象もあった皇太子さまが変わられたのは大学時代だったという》
小山「僕は大学は別でしたけれど、オックスフォードまで遊びに行ったこともあって、殿下にとってイギリス留学は大きかったと思う。オックスフォード大学から帰った殿下はずいぶんお変わりになって、リラックスした雰囲気だった。あのころ、殿下と食事をご一緒したあと、よくみんなで東宮御所まで歩いたじゃない。ああやって夜の街を歩くのは、オックスフォードのころの癖だったんじゃないかな」
竹内「なるほど」
小山「東宮御所の門まで行くと、いつもの御料車が待っているの。歩いて帰ってきて、門に入ってから車に乗るわけで、あべこべなんだけど(笑)何度も殿下の街歩きにはお付き合いさせていただきました。殿下の大学時代については、乃万と竹内さんに話してもらいましょう」
竹内「乃万さんは、後輩の私たちから見ると『常に殿下のお隣にいる方』というイメージでした。そのころから今の格好と同じ、ダブルの背広にきちんとしたネクタイで、赤いポケットチーフをさしていらっしゃって。そんな学生いないでしょう」
小山「まさか殿下の同級生とは思わなかったでしょうね」
竹内「ええ。みんな『あの人は皇宮警察官よ』と言っていて、そう思い込んでいました(笑)」
乃万「実際に『週刊新潮』が『殿下はいつも皇宮警察の人を連れている』『それは赤いポケットチーフでわかる』と書いていたんだ。まさしく僕のこと(笑)」
竹内「乃万さんが大学1年生のときからあの格好だったのですか?」
乃万「ええ、もちろん」
竹内「えーっ!」
小山「そうやって、殿下の『付き人』をあえて務めていたのは、学校から『殿下の面倒をみてほしい』と言われたという経緯もあるわけだよね」
乃万「そう。殿下と同じ文学部史学科に入った男子学生の何名かが、入学式の数日前に呼び出されて『殿下をサポートしてもらいたい』と言われて。さらに『入学式では殿下の両脇に座ってほしい』と言うんですよ」
小山「ボディガード代わりでもあったのかな。あのころは過激な学生運動もまだ下火になっていなかったから」
乃万「もう覚悟を決めて殿下のお隣に座って。もちろん入学式は無事に終わったけれど、今度は『これは大学が君たちに強制するものではないが、できたら、殿下と同じ科目を履修してもらいたい』という話になった。もう否応なくお付き添いすることになったのです」
《乃万さんたちは、療養中の雅子さまをお支え続けた皇太子さまのお姿も目撃していた》
乃万「’04年に殿下ご自身が、雅子妃殿下について『人格を否定するような動きがあったことも事実』と会見で述べられました。それから5、6年は相当な葛藤がおありだったのだろうと思います。でも、それについて私たちがお聞きすることも、殿下が口にされることもありませんでした」
竹内「私のような後輩にも悩みなどはお話しになりませんが、去年くらいから、殿下のとても明るく前向きなお気持ちを感じています。『来年の一般参賀は、殿下が真ん中ですね』といったお話もしました。ただ、私は一度も行ったことがなくて……」
――皇太子殿下が即位されたら、一般参賀に行かれますか。
竹内「ええ。実は安田ゼミの同窓会でもそういう話題になり、後輩が殿下に『大勢の参賀者の中から見つけてください!』とばかなお願いをしまして……。そうしたら殿下が『ベレー帽なんかを目印にするのもいいかもしれない』と提案されたんです。みんなで『何色がいいかしら』と話して、一番目立つ真っ白のベレー帽をお揃いで被りますと言ったら、殿下も笑っていらっしゃいました。ゼミの同窓会には、殿下は毎年のように来てくださった、私たちのたわいのない話にもお付き合いくださいます」
小山「ゼミのお仲間との交流を大切にしていらっしゃるのは、今後も歴史学などの研究もお続けになりたいということなのでしょうね」
乃万「今年のお正月にも、私が殿下の『水問題』の研究についてお聞きしたら、熱心にお話くださいました」
小山「天皇陛下におなりになっても、ライフワークの研究はぜひ、続けていただきたいです」