大勢の市民が天皇ご一家を出迎えた、8月19日の那須塩原駅前。集まった人たちからドッと笑い声が上がる場面があった。
天皇陛下がハンカチでお顔の汗を拭きながら、笑顔で「ハンカチ王子」とつぶやかれたのだ。
実は陛下は昔から、いわゆる“親父ギャグ”を好まれていたという。陛下の独身時代から取材をしてきた皇室ジャーナリストはこう語る。
「英国のオックスフォード大学への留学中にできた友人に、日本語の“殿下”という言葉を説明しようとされたときのことです。『私はデンカ』と言ってから天井の照明を指して、『これはデンキ。間違わないように』とおっしゃったそうです。それ以来、その友人にはデンキと呼ばれるようになったと笑っていらっしゃいました」
陛下と交流のあった元プロテニスプレーヤーの佐藤直子さんによる本誌への寄稿では、陛下の“自然なギャグ”も紹介されている。
佐藤さん宅のパーティに出席された陛下は、テーブルの移動を買って出たものの、テーブルと壁の間に挟まり出られなくなってしまう。すると陛下は、その状態のまま「殿下、出んか」とポツリ。思わず佐藤さんが聞き返すと、はにかんでいらしたという。
陛下のユーモア発言はまだまだある。一気に紹介しよう。
「もう、竹下景子は卒業しました」
(’85年10月、「理想の女性は竹下景子」という5年前の発言を報道陣に蒸し返されて)
「決して牛歩しているわけではありません」
(’92年7月、結婚が遅れていることについて回答されて。この年の国会ではPKO協力法に反対する野党が牛歩戦術を展開し、話題となっていた)
「ロウソクは浮いていませんよ」
(’08年1月、学習院女子大での講演で、ご自身が留学されたオックスフォード大学を紹介されて。大学の食堂は映画『ハリー・ポッター』のロケ地となっており、映画では魔法で宙に浮くロウソクが登場している)
「ネッシーはいなかったです」
(’19年2月、読書感想文コンクールの受賞者との懇談で、ご自身が撮影されたネス湖の写真を見せながら)
かつて陛下は、夫婦円満の秘訣を《大変な時にも、「笑い」を生活の中で忘れない》ことだと語られていた。
陛下の親父ギャグやユーモアは、国民を愛し、愛される秘訣でもあるのかもしれない――。