意識を失ってお倒れになった上皇陛下は、迅速な対処により大事には至らず。しかし、献身的なサポートを続ける美智子さまには知られざる苦悩があった――。
「上皇陛下は29日の午後6時半ごろ、お住まいの皇居・吹上仙洞御所内で意識を失って倒れられました。そばにいた美智子さまが上皇陛下のお体を支え、すぐさま非常ブザーを押されました」(皇室担当記者)
幸いなことに、駆けつけた侍医による診察が始まると、まもなく上皇陛下は意識を回復された。30日の朝にはいつもどおり朝食もとられたという。
「お住まいの吹上仙洞御所には非常ブザーが整備され、侍医も泊まり込みで待機しています。それでも美智子さまは緊急の事態に備えて、できるかぎり上皇陛下のおそばから離れないようにと、心がけていらっしゃるのです。今回のような突然の症状に対処するためだけではありません。実は上皇陛下が以前から、ご自身の記憶力への不安を吐露されているのです」(宮内庁関係者)
上皇陛下は’15年の会見で《私はこの誕生日で82になります。年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました》と話されている。
また、上皇陛下の母君である香淳皇后の晩年について、当時を知る元宮内庁幹部は「今で言う認知症の症状が現れていた」と証言している。前出の宮内庁関係者も、心配そうに話す。
「上皇陛下がご退位を決断された背景には、晩年の香淳皇后の健康問題もあったといいます。ご在位中は、上皇ご夫妻はご公務で日本全国へお出かけになり、人とお会いになる機会がたくさんありました。しかしご退位後は“二重権威”との批判を避けるため、お出ましの回数は激減しています。つまり刺激が減り、認知症のリスクが高まる状況にあるのです。さらに上皇ご夫妻は、3月末までに高輪皇族邸へお引っ越しする予定となっています。その約1年後には、赤坂御所へもう一度お引っ越しされます。生活環境の大きな変化に上皇陛下が過ごしにくさや不安を感じられなければいいのですが……」
美智子さまのご体調も決して万全とはいえない。
「昨年、上皇后さまは白内障と乳がんの手術を受けられました。そして昨年9月ごろから、血の混じった嘔吐の症状がありました。上皇后さまは、上皇ご夫妻の存在が“二重権威”であるとのいわれなき批判に、お心を痛めていらっしゃいます。また、御代替わり後に増加していったネット上のバッシングにもショックをお受けだと思います」(美智子さまの知人)
上皇ご夫妻のお引っ越しは当初、昨年の夏から秋の初めに行われる予定だった。しかし、美智子さまの手術が重なったこともあり延期に。現在も荷物の整理は終わっていない。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんはこう話す。
「お引っ越しの費用は今年度予算に計上されていますので、今年3月末までに実施する必要があります。今回、幸いにも大事には至りませんでしたので、予定どおり3月末までに引っ越されるだろうと思います」
ただ、実は美智子さまは今年、ライフワークともいえる催しへのご出席を断念されている。2年に1度、2月上旬ごろに開催される「旭出学園工芸展」では、知的障害のある生徒らが作った作品が展示・販売される。
「障害者福祉に長年関心を寄せてこられた美智子さまは、’76年から40年以上にわたり、この工芸展に足を運ばれていました。しかし、今年はお引っ越しの準備でご多忙でしたし、上皇陛下をお一人にして外出されるお気持ちにはならなかったのでしょう」(前出・皇室担当記者)
楽しみにされていたお出かけの予定も取りやめられていた――。前出の宮内庁関係者は、そんな美智子さまのご体調を危惧しているという。
「美智子さまも昨年10月に85歳になられました。お引っ越しの準備を進めながら、24時間気を抜かずに上皇陛下をお支えなさる状況は、美智子さまにとって、もはや限界に近いのではないでしょうか。お引っ越しの中止も、真剣に検討しなければならない状況ではないかと思います」(前出・宮内庁関係者)
上皇后となられてからも、ご自身の義務を果たそうと奔走される美智子さま。これ以上、ご無理をなさらないでいただきたい――。そう願うばかりだ。
「女性自身」2020年2月18日号 掲載