「皇室制度や歴史の専門家の考えを聞きながら予断を持つことなく議論を行っていただく」
加藤勝信官房長官は3月16日の記者会見で、安定的な皇位継承などの課題を議論する有識者会議を設置することを明らかにした。
有識者会議のメンバーに選ばれたのは次の6人。男性3人、女性3人となっている。
・上智大学教授の大橋真由美氏
・前慶應義塾大学塾長の清家篤氏
・JR東日本会長の冨田哲郎氏
・女優で作家の中江有里氏
・慶應義塾大学教授の細谷雄一氏
・千葉商科大学教授の宮崎緑氏
これまで、小泉内閣や安倍内閣でも皇室に関する有識者会議が開催されているが、男女同数となったのは初めてのことだ。
「ただでさえ、森喜朗氏の女性蔑視発言が世界中から非難を浴びたばかりです。有識者会議を男女同数としたのも、国際社会の目を気にしたものでしょう。また、いずれも皇室の専門家ではなく、とくに女優の中江有里さんを選んだことには驚きました。
女性宮家創設の是非だけではなく、女性天皇や女系天皇といった国論を二分しかねない問題も議題に上がるでしょう。一般国民に近い感覚を持ったメンバーにすることで、国民が有識者会議の意見を受け入れやすいようにする意図があるのかもしれません」(皇室担当記者)
小泉内閣の有識者会議にも出席した、皇室研究者の高森明勅さんに話を聞いた。
「政府はすでに、水面下で専門家へのヒアリングを終えているとみられます。昨年11月には『皇女』プランが検討されていると報じられました。しかし、この小手先の案は大きな反発を呼びました。野党からだけでなく、国会の取りまとめ役の大島理森衆院議長からもくぎを刺されてしまったのです。
これにより、政府は女性宮家はもとより、皇位の安定継承についても議題に上げなければならなくなったといえます。国会議員にとって、皇位の安定継承は論じることが難しいテーマですが、間違いなく喫緊の課題です。これまで先延ばしにしてきた問題にしっかりと向き合えるか、国会の見識が問われます」