■雅子さま流、着こなしポイント5
ご成婚以来、雅子さまはカラフルな色のお召し物でよくお出ましになっていました。それが強く感じられたのが、ご成婚の翌年から天皇陛下(当時は皇太子)と2度訪問された中東諸国でのドレス姿。
このときの色鮮やかなドレスを、ご訪問先で見事に着こなしていらした雅子さまはとても素敵でした。それからお年を重ねられ、平成から令和への御代替わりとなる前、そして皇后となられてからの雅子さまは、優しい淡い色合いのドレスが多くなりました。
特に賓客のおもてなしなどでは、決して華美な装いはされません。けれどもその装いは一見すると無地に見える布地にも金糸、銀糸が織り込まれていたり、繊細な刺繍で装飾されていたりと、ミセスらしい落ち着きに優雅な風格をたたえているのです。
雅子さまのドレスには、よく見られる5つのポイントがあります。1つ目は、ハイネックやタキシードを思わせるウイングカラー。2つ目は、ふっくらとした肩から袖口に向かって細くなるレッグ・オブ・マトン・スリーブ。3つ目は、アシンメトリーに左腰に寄せたドレープ。4つ目は、左腰にボウで結んだリボンや飾り。5つ目は、滝のように流れ落ちるカスケードライン。
この5つの特徴がよく表れているのが、ご成婚後の饗宴の儀でお召しになっていた淡いオレンジのドレスでした。さらに、ドレスのスカートを着物のように重ねるデザインや地紋のある絹地からは、和のテイストが感じられます。
これは、日本のさまざまな伝統美を上手に取り入れていらした美智子さまの装いから引き継がれたものです。その和のこころを、雅子さまは独自のデザインで継承されています。
これからは華美になさらなくても格調の高い、皇后らしい装いが増えてくると思います。コロナ禍で賓客の接遇や外国へのご訪問がなく、新しいドレスを拝見できないのが残念ですが、今後が楽しみです。(石原さん)
(写真:本社写真部/雑誌協会代表取材/宮内庁提供/時事通信/朝日新聞社)
「女性自身」2021年4月27日号 掲載