皇室に代々受け継がれた美術品類を収蔵する宮内庁三の丸尚蔵館から、初めて国宝が指定されたのが昨年7月のこと。その全5件が国宝指定後、初めて公開される展覧会「日本美術をひも解く—皇室、美の玉手箱」が、9月25日まで東京藝術大学大学美術館にて開催中!
会場となる東京藝術大学は、明治20年に設立された東京美術学校が前身。初代校長の岡倉天心のもと、宮内省と共同で作品を制作するなど、明治期より皇室とゆかりがある。
本展は三の丸尚蔵館収蔵作品を中心に、東京藝術大学のコレクションを合わせた82件が一堂に集結する。作品は「文字」「生き物」「風景」「物語」の4つのテーマに沿って展示され、日本美術の「美の玉手箱」をひも解いてゆく。
■国宝『動植綵絵 向日葵雄鶏図』伊藤若冲筆/江戸時代・宝暦9年(1759)/宮内庁三の丸尚蔵館蔵/展示期間:8月30日〜9月25日
若冲が約10年をかけて描いた30幅の『動植綵絵』は、相国寺から献上。本作をはじめ、『池辺群虫図』ほか計10幅が本展に。
■国宝『唐獅子図屏風(右隻)』 狩野永徳筆/桃山時代(16世紀)/宮内庁三の丸尚蔵館蔵/展示期間:〜8月28日
桃山芸術の巨匠・永徳だが、実は現存するものは希少。毛利元徳より献上され、今日に伝わる。
■国宝『蒙古襲来絵詞(前巻部分)』鎌倉時代(13世紀)/宮内庁三の丸尚蔵館蔵/展示期間:(前巻)〜9月4日、(後巻)9月6日〜9月25日
元寇での戦に出陣した、肥後国御家人・竹崎季長を中心に展開する絵巻。視覚的史料価値も高い。
国宝を含む一部の作品は会期中に展示替え・巻替えが行われるため、1度ならず2度訪れたい、この夏必見の美術展だ。
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