■各国のVIPとの関係を誇示して…
「現在も、リトル・エンジェルスのホームページには、公演をご覧になった上皇ご夫妻との写真のほかに、英国のエリザベス女王やアイゼンハワー元米大統領と交流する写真が掲載されています。世界的なVIPとのつながりを誇示することで、布教活動に結びつける“権威付け”を図っていたのでしょう」(皇室担当記者)
上皇ご夫妻のご成婚前、首相として皇室会議の議長を務めたのが岸氏だった。前出の皇室担当記者はこう続ける。
「上皇さまと平民出身の美智子さまとのご結婚には、皇族の中からも反対する声が上がりました。そうした状況で、お二人のご結婚を進めたのが岸氏でしたから、ご夫妻は岸氏に好印象を抱かれていたそうなのです。
日韓国交正常化から5年ほどたった1971年当時に、韓国の子どもたちとのご交流ということで、岸氏側からご臨席願いが寄せられたのであれば、ご夫妻にはお断りになる理由はなかったと思います」
ある宮内庁関係者はこう話す。
「もしその当時に、教団への多額の献金が原因で家庭が崩壊した人々の存在を上皇ご夫妻、宮内庁が知るようなことがあったならば、お二人は強く心を痛められたでしょうし、公演ご臨席は実現しなかったでしょう。
現実に、1970年代半ばには、統一教会による大学での布教活動や霊感商法がメディアに取り上げられるようになりました。それ以降、皇室はいっさい教団関連団体と関わったことはありません」
しかし統一教会は、信者に対して文鮮明氏の神格化を強めるエピソードとして、1971年の公演での出来事を独善的に利用していたという。前出の有田さんは、
「リトル・エンジェルスの公演をご覧になった美智子さまに、教典である『原理講論』が手渡されたという“言い伝え”が教団内で語り継がれているそうなのです。
教祖の文鮮明氏を『王の王』とする統一教会では、日本の皇族もその教義を学ばなければならず、皇族も国際合同結婚式に出なければならないとまで、信者たちは教えられています。
統一教会の周辺組織について、上皇ご夫妻がご覧になった時代には日本社会ではあまり知られていませんでした。むろん、公演以後皇室との接点はありません」
半世紀も前に、日本の権力者を通じて皇室への侵食を図っていた統一教会。もし当時、美智子さまがその魔手をはねのけていらっしゃらなかったら……。そう想像すると慄然とせざるをえない。