■キツツキが壁に穴を…地元の人々も不安視
附属邸は、1935年に建設された木造平屋(一部2階)建ての和風建築。広さは本邸よりも狭い約1523平方メートルで、約40室ある部屋のほとんどは和室だ。
「上皇ご夫妻は、香淳皇后がご健在のときは本邸を使われず、附属邸でお過ごしになっていました。天皇陛下と雅子さまもそれにならわれたのでしょう。
しかし、附属邸は本邸に比べてところどころの“劣化”が見て取れます。雨戸の戸袋には、キツツキなどが開けた穴がいたるところにあります。毎年ご静養前に修繕しても、すぐに新たな穴が開けられてしまうと聞いています」(前出・宮内庁関係者)
さらに、歴史的な猛暑が続く日本列島だが、那須のような高地も例外ではなく――。
「天皇ご一家が滞在されている現在も、栃木県那須町の連日の最高気温は30度以上で湿度もあり、けっして涼しくありません。じつは、本邸と附属邸には現在も冷房はなく、天皇ご一家は扇風機と自然の風で暑さをしのがれているのです」(皇室担当記者)
まさに“過酷避暑”を過ごされている雅子さまだが、建物そのものの“倒壊危機”も指摘されているというのだ。
「本邸は築97年、附属邸は築88年と、かなり老朽化しています。宮内庁は耐震工事などの改修を行ってきましたが、安全性を懸念した地元の人々がグループを立ち上げて、2019年に建て替えなどを求める署名活動を始めているほどなのです」(前出・皇室担当記者)
本誌が署名活動の発起人の一人で、那須高原の農家や地元住民でつくる那須嚶鳴会の会長を務める市村利男さんに取材すると、附属邸の老朽化についてこう語った。
「先日、地元の有志で附属邸まで行ったのですが、昔の木造校舎のような外観で、かなり古くなっている印象を抱きました。附属邸に行ったメンバーからは、『こんな古い建物に天皇ご一家がいらっしゃるのか』という驚きの声も上がっていました。
将来にわたって安心して皇室の皆さまにお過ごしいただくためにも、早急な建て替えを求めて、署名活動を行ってきました。活動を始めて4年がたち、那須塩原市や黒磯市の人々を中心に、今日までに5万1千筆の署名が集まりました。
しかし、宮内庁や栃木県知事、地元の議員にお願いしても“受け取れない”と言われ、署名はグループで保管しているのが現状です。御用邸の歴史的な価値は理解できますが、安全を確保するためにも附属邸は建て替えてもよいのではないでしょうか」
地元の人々の心配を理解されていたとしても、冷房ナシ、安全性への懸念もある附属邸でのご静養には、天皇陛下と雅子さまのご覚悟が表れていて――。
「日々のお暮らしのなかで、倹約を大切にされているお気持ちを徹底されている天皇陛下と雅子さまは、コロナ禍や物価高で苦しい生活をしている国民にお心を寄せられていますし、“御用邸を新築したい”と希望されることはないでしょう」(前出・宮内庁関係者)
過酷な環境でも雅子さまは“国民と苦労を分かち合う”というお心を片時もお忘れにはならない。