「保護されたときは怯えていたのが…」愛子さま 譲渡した保護団体スタッフ明かす愛猫セブンの変化
画像を見る 雅子さまが春の園遊会に持参した愛猫「みー」の写真。雅子さまはこれらの写真を見せながら、招待者の横尾忠則さんと懇談されていた(写真提供:宮内庁)

 

■天皇の猫好きは1100年前の平安時代から

 

実は、天皇家と猫の交流は、平安時代から始まっているという。

 

『猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる』(講談社)の著者で甲南大学の田中貴子教授が語る。

 

「猫好きの天皇として知られているのが平安前期の第59代の宇多天皇です。寛平元年(889年)に、今でいったら猫のブログでしょうか、自分の日記で溺愛する黒猫のことを書いています。飼っていた猫は、太宰府の役人から献上された『唐猫』という高級輸入猫で、父の光孝天皇から譲り受けられました。宇多天皇は温かいまなざしで愛猫を観察し、日記では『歩くときはまったく音を立てないので、まるで雲の上の黒龍のようである』『夜にはよくねずみを捕り、ほかの猫より敏捷である』と文化の薫り豊かな文章で褒めちぎっています」

 

当時は、高級猫を飼うことがステータス。逃げられないよう紐でつないで飼うのが流行したという。

 

『増補改訂 猫の日本史』(戎光祥出版)の共著者である吉門裕さんはこう話す。

 

「天皇家と猫の話で、もっとも生き生きしているのは清少納言の『枕草子』です。大河ドラマ『光る君へ』に登場している一条天皇は、愛猫に位階を授け『命婦のおとど』と呼び、専任の乳母まで任じていたことは有名。ただ恭しく飼っていたわけではありません。犬に追いかけられて驚いた『おとど』が逃げてきたのを“御ふところに入させ給ひて(=自らの懐にお入れになって)”いたと、清少納言が書き残しています。帝が猫をちゃんと抱っこしたりなでたりかわいがっていたからこそ、猫も懐いていたのでしょう」

 

「また、大河ドラマといえば、黒木華さんが演じている源倫子は猫を飼っていますが、彼女は宇多天皇の子孫。猫好きとして描かれているのが興味深いです」

 

天皇の猫愛は、脈々と受けつがれていったようだが、プライベートなことのため、記述が少ないのだという。吉門さんがこう続ける。

 

「猫の和歌も少なくて、天皇の命により編纂された『勅撰集』には一首も採られていません。ただし明治天皇には〈猫の子を ひざにおきつつ ふみよみし をさな心も ゆめとなりにき〉という御製が伝わります。近世の宮廷でも猫を慈しんでいたのかもしれません」

 

■共感力の強い猫はご一家のお心の支えに

 

最後に、愛猫家でもある田中教授が、天皇ご一家の猫たちについて、こう語る。

 

「平安貴族のようなブランド猫ではなく、現代の動物愛護の大切さを示されるように、保護された猫を飼っていらっしゃることにご一家のお気持ちを感じます。人間が弱ったり困ったりしたときに、猫は、本能的に察して近くにいて見守ってくれる共感力が強い動物。ご一家のお心の支えにもなっていたことでしょう」

 

1千年以上たった今でも、天皇ご一家と猫の強い絆は続いているようだ。

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