■政界を動かした「愛子天皇」待望論
同会合での麻生氏の発言はメディアによって報じ方が異なっているが、なぜことさら注目されているのか。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんに聞いた。
「これまで自民党は、“男系男子限定によるいまの皇位継承順序をゆるがせにしてはならない”と現実性に欠ける姿勢を堅持してきました。ところが党内の議論をリードする麻生副総裁の発言には、次世代の皇位継承については議論の余地があることがにじんでいました。さらには、“皇位継承の仕組み”の変更についても含みを持たせたとも取れる発言だったのです」
通常国会では、皇族数の確保策について与野党で協議が行われていたが、平行線のまま閉幕。前出の高森さんはこう続ける。
「政府の有識者会議の最終報告がなされてから2年半がたち、天皇ご一家のご活動やご様子を発信するインスタグラムのフォロワー数は176万人を超え、愛子内親王殿下への共感も高まっています。国民だけではなく、政界も変化しているように感じています。
早急に女性皇族がご結婚後も皇室にとどまれるようにして、その次のステップで皇位継承の仕組みそのものについて根本的に議論するという下地が、徐々に整ってきているということなのでしょう」
求心力低下が著しい岸田首相と麻生氏が女性天皇の実現を模索する背景には、逆風が吹く党内の状況以上に、愛子さまの存在感の大きさも影響していると、前出の自民党関係者は語る。
「世論調査でも“次の首相にふさわしい人”の上位に挙がる石破茂元幹事長は総裁選への出馬が有力視されていますが、先月テレビ番組で“女系天皇を否定していいのか”という踏み込んだ発言をしています。麻生さんの発言は、明らかに石破さんを意識したものといえます。歴史上10代8人いた女性天皇と、女性天皇のお子さまが即位する女系天皇に対する見方は、保守派の政治家や論客のなかでも見方が分かれるからです。
ただそれ以上に、愛子さまのご活躍が報じられるにつれて、即位を望む国民の意識も無視できないレベルにまで高まっています。高い世論の支持がある女性天皇の即位を可能にする皇室典範改正を打ち出して実現すれば、政権の維持も不可能ではないと岸田総理は考えているのでしょう」
日本の神話には、皇室の祖先とされる天照大御神が天岩戸を閉ざして隠れてしまい、世界が暗闇に包まれたというエピソードがある。天照大御神が、八百万の神々の求めで戸を開けて姿を見せたことで、世界が光を取り戻したという。
「愛子さまを天皇に」と望む国民の声が、固く閉ざされた“岩戸開かずの扉”を開き、ご即位への道を照らし始めている。
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