■来年の進講者も…秘められた“意図”
近現代の皇室に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、女性天皇の存在に対する国民的な関心の高まりにも関係しているテーマだと指摘し、こう続けた。
「過去に存在した女性天皇に対する学問的な成果を踏まえて、今後の皇室の在り方にとって、皇室の方々のみならず国民に対しても、その意味をより正しく慎重に理解しなければならないという天皇陛下のお考えがあるようにも感じました」
講書始の儀では、進講者の後方に、「進講者控」の3人が座っていた。この控えに選ばれた学識者たちが、翌年の講書始の儀で進講を行う慣例がある。そして今年の控えには、日本政治史の第一人者で、東京大学名誉教授の御厨貴氏が加わっていたのだ。
「来年の講書始の儀では、御厨氏も進講を行います。御厨氏は、上皇さまのご退位を議論した政府有識者会議で座長代理も務め、男系男子に限定した現在の皇位継承の在り方に対しても、“世界の潮流はそのような段階ではない”と発言したこともある学識者なのです」(前出・皇室担当記者)
前出の小田部さんも、御厨氏が進講者控に選ばれていた“意図”についてこう話す。
「御厨氏は、上皇さまのご退位やその後の皇位継承に関する議論の流れについて、包括的な知識や理解を持っておられます。その進講を受けることは、今後の皇室の問題を考えるうえでも大きな意味があると思います。
そうしたご進講者を選ばれたということは、天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々が将来の在り方について強い関心を抱かれていることの表れだとみています。そして両陛下は愛子さまにも、女性天皇が実在した歴史的背景などについて、深く理解していただきたかったのではないでしょうか」
講書始の儀で、女性天皇が多数誕生した背景に耳を傾け、ご自身の“運命”についても向き合われていた愛子さま。しかし高まる国民の期待感のいっぽうで、愛子さまのご公務が増えない現状を、『週刊文春』が1月8日発売号で報じている。前出の宮内庁関係者は、
「昨年の単独ご公務が2回にとどまったのは、行事へのお出まし願いが来ていない状況があるという内容でした。
たしかに愛子さまは日本赤十字社へのご就職後も業務に専念しているという報道が相次ぎ、さまざまな団体も願い出ることをためらっているようです。さらには、後続のご公務は一度出席すると以降も関わり続けられるケースは多く、侍従職も慎重になっていると聞いています。
しかし愛子さまは、側近たちに対しても“ふさわしいものがあればぜひとも”と語り、生涯関わっていくテーマについて考えを深めながら、探求されているそうです」
いにしえの女性天皇に思いを馳せながら、ライフワークを模索される日々。新年の“学問始め”に発奮し、愛子さまは飛躍を誓われていたのだろう――。
