■「もうちょっと太ってもいいけど…」
巌さんは、美智子さまのご体調も案じ続けていたようだ。インタビューで、ふとこんな言葉をもらしたこともあった。
「(皇太子妃殿下は)もうちょっと太ってもいいけど。ああいうところだから気苦労も多いのでしょう」(『現代』’82年11月号)
’93年に美智子さまが失声症で苦しまれていた際も、巌さんが駆け付けたという。
ドレスをリフォームして召され続けていた美智子さまだが、巌さんも質素な生活を心がけていた。実は“倹約”は正田家の家訓でもあったのだ。
かつて本誌は、正田家の家政婦を務めた女性を取材したが、富美子さんからこう教わったという。
「お野菜はよく洗って、じゃがいものくずでも、ねぎの青いところでも、捨てずに取っておくんですよ。あとからスープのだしに加えましょう」
父・英三郎さん、母・富美子さんが他界した後、正田家のあった土地には、品川区の区立公園「ねむの木の庭」が開園した。
「巌さんは、公園の近くに住んでいて、美智子さまは高齢になった巌さんをお見舞いするために、たびたび訪れられていたそうです」(前出・皇室担当記者)
“くず野菜のスープの思い出”を分かち合った兄を見送られた美智子さま。その深い悲しみを、春に咲くであろう「ねむの木の庭」の花々が癒してくれることを祈りたい。

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