■警備や温泉供給など維持費が問題視されて……
この須崎御用邸廃止論の根拠の一つは維持費だったという。前出の宮内庁関係者が続ける。
「敷地面積は葉山御用邸の4倍もあり、その分警備費用がかかります。また築50年以上となり、建物の補修費用も必要です。さらに温泉の供給に年間300万円ほどかかっています。そのため“どなたも利用されないのに、維持する必要があるのか”という声もあったのです」
だが、そんな声を憂慮されていたのが雅子さまだったのだ。
「須崎御用邸は、昭和天皇や香淳皇后も愛されました。また上皇ご夫妻も幼いお孫さまたちと過ごされました。もちろん天皇陛下にとっても、愛子さまのご成長を見守られた場所でもあります。雅子さまにとっては、廃止論は受け入れがたく、この数年は“今年こそは須崎へ”と願い続けられていたのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
前出のつげさんはこう語る。
「私も須崎御用邸は必要なのではないかと思います。まず一つには、ご多忙な天皇皇后両陛下の心身の疲労を癒せる場所であることです。
また将来生まれてくる皇室のお子様方の成長にとっても、貴重な場所であると思います。次世代のお子様方も、一般の子供たちのように自由に海水浴に行くことはできないでしょう。須崎御用邸があれば、これまで愛子さまが体験されたように、お子様方も海辺の自然に親しむことができると思います」
天皇ご一家は下田市には“お召し列車”で訪問されるという。
「’19年8月に天皇ご一家が利用されたのは、JR東日本の特別列車でした。ご公務ではないため、菊紋がついた特別車両はつながれませんでしたが、特に鉄道ファンたちの間で、“天皇陛下として初めてお召し列車に乗車された”などと、話題を集めていました」(前出・皇室担当記者)
“須崎での最後の夏にはさせない”、そんなご覚悟も胸に秘め、雅子さまは思い出の海と再会される。
画像ページ >【写真あり】1971年に竣工された須崎御用邸(他14枚)
