こたつの中に布団を押し込んで起きた出火事故の再現実験映像(提供:製品評価技術基盤機構/写真:時事通信) 画像を見る

「火災が発生する要因は3つあります。まずは“火種”(コンロの火、たばこ、ライター、静電気など)。次に“可燃物”(布、紙、カーテン、絨毯など)。そして空気中にある“酸素”です。この3つがそろわないと火災は起きません。このことを把握したうえで、火災予防策を考えるといいと思います」

 

こう語るのは、38年間消防活動に従事し、福島県内の消防署署長を経て、現在、火災予防アドバイザーとして活躍する芳賀利幸さん。

 

消防庁が10月に公表した、2021年における火災状況のデータによると、建物火災(1万9千549件)の出火原因で、最も多かったのは、「コンロ」(2千617件)。次に「たばこ」(1千721件)、「電気機器」(1千413件)、「配線器具」(1千187件)という順番であった。

 

さらに、住宅火災による死者(放火自殺者を除く)966人のうち、65歳以上の高齢者が716人。全体の74%以上を占めていた。

 

冬は空気が乾燥し、暖房器具等を使う機会も多くなる。ストーブの消し忘れや誤った使い方などによる火災発生のリスクが増えるシーズンでもある。実家で暮らす老親が火災に遭わないために、前出・芳賀さんのアドバイスのもと作成したのが、以下の「年末年始の帰省の際にチェックしたい“火の元”リスト」だ。

 

□ 過熱防止機能が付いたコンロを使用しているか

 

コンロに加熱防止機能が付いていない場合は、コンロを使用する際、ほかのことをしないように親に警告を。建物火災の原因の1位はコンロからの出火。天ぷらなどで油が温まるまでの間にほかのことをしていて、火をつけているのを忘れてしまうケースが最も多い。

 

□ 寝室のドア(出入口)の近くにストーブが置かれていないか

 

親の寝室での就寝場所を確認する。ベッドを置いたりふとんを敷いている場所は、ドア近くの避難しやすいところがベスト。そしてドア付近にはストーブを置かないこと。ストーブ周辺で出火した場合、出口が炎でふさがれてしまい室内から逃げられなくなる。

 

□ ストーブ(石油、電気)は安全装置付きを使用しているか

 

2010年以前の石油ストーブや石油ファンヒーターを使っている場合、不完全燃焼防止装置、給油時消火装置などの安全装置が付いていない可能性がある。電気ストーブの場合も転倒時消火装置等の安全装置が付いているかをチェック。付いていなければ買い換えをする。

 

□ カーペットやカーテン、ふとん、パジャマは防炎製品か

 

高齢の親が暮らしている家の中にあるカーテンやカーペット、寝室のふとん、ふとんカバー、パジャマといった布類は、燃えにくい防炎製品にできるだけ換えたい。とくにストーブの下に敷いてあるカーペットは、1~2畳だけでも良いので、防炎製品に換えるように。

 

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