(写真・神奈川新聞社)
米海軍横須賀基地の軍人家族らでつくるボランティアグループ「ヘルピングハンズ」の活動が、東日本大震災後の発足から5年経過した。日用品などの物資を継続して送り届け、仮設住宅への訪問も続ける。困った人に差し伸べる手(ヘルピングハンズ)は世界各地から被災地へ向けられている。
ヘルピングハンズは2011年4月、川崎市の避難所「とどろきアリーナ」などに避難していた被災者を支援しようと発足した。当初のメンバーは20人だったが、インターネット交流サイト「フェイスブック」などを通じて、支援の輪がどんどん膨らんだ。横須賀から米本土やイタリア、ハワイなどの米軍基地に転勤していった家族も、物資や義援金などを送り届ける支援を続けている。
グループの発起人で、米軍人の夫を持つサリバン雅子さん(37)は3月下旬、夫の赴任先サンディエゴから一時帰国。米海軍家族ら6人で被災地の4カ所の保育園や仮設住宅を訪れて物資を届け、園児やお年寄りと触れ合った。
当初は40世帯が暮らしていた仮設住宅は現在16世帯に減り、周囲には新築の家々が建ち始めていた。時の移ろいを感じさせたが、米軍家族の女性の胸には「先が見えない仮設住宅で暮らしている人たちは、どんな気持ちで新しい家を見ているのだろう」との思いがよぎった。
サリバンさんは「震災直後はとにかく物資が必要だった。でも、今は(被災者との)心のつながりが大事。誰かに気を掛けてもらうことで、心強く感じるのだと思う」。だからこそ、顔の見える支援をこの先も続けようと心に決める。
グループのメンバーには、震災を経験していない米軍家族も続々と加わっているという。「5年たち、あらためて継続支援の大切さを知った。みんなの力があってこそ支援の輪」とサリバンさん。助け合いの精神は脈々と受け継がれている。