(写真・神奈川新聞社)
介護施設でお手伝い-。トヨタ自動車が開発した生活支援ロボット(HSR)の実用化を目指し、6月から相模原市内の企業と共同研究がスタートした。HSRはこれまで、大学や研究機関との共同研究に限って貸与されてきたが、市経済部産業政策課によると、民間企業主体の取り組みに貸与されるのは国内で初めて。今後、需要の拡大が見込まれる介護・福祉分野などへの普及を目指し、同市のものづくり産業の活性化につなげる構えだ。
HSRは「Human Support Robot」の略。市内企業による「さがみはらHSR社会実装研究会」(事務局・さがみはら産業創造センター)を立ち上げ、特別養護老人ホームなどの施設で職員の負担を減らす現実的な利用ができるよう、今後4年間でプログラム開発・実証実験を進めていく。参加企業は10社程度を見込む。
ロボットの重さは37キロ。全長135センチ(最小時は100センチ)。長さ60センチの腕があり、1.2キロの重量を持つことができる。「手」の部分には持ったり吸着したりできる機能があり、物の形状を認識し、ペンなどは指先で挟み、カードや紙など薄いものは吸着して拾う。操作はタブレット端末を利用し、ユーザーが画面上で指示する仕組み。
この基本性能を生かし、専用プログラムを開発すれば手足の不自由な人のために家庭内の離れた場所に移動し、様子を確認し、物を持ってくることが可能。将来的には掃除や片付けなど、一般家庭の生活支援を目指す。
同研究会は「さがみはらIT協同組合(杉本祥一理事長)」を中心に、玉川大工学部の岡田浩之教授の協力でプログラムを開発していく。東京ビッグサイトで開催される国際ロボット展(11月29日~12月2日)に出展し、HSRを活用した取り組みについて情報発信する予定。
5日は企業2社や市、商工会議所、同産業創造センターの関係者7人が今後の方針を話し合った。杉本理事長は「実際に介護施設で必要なのは何か、何ができるのかを探っていきたい」と意気込みを語った。