(写真・神奈川新聞社)
2020年東京五輪でセーリング競技が開催される藤沢市江の島の玄関口、小田急線片瀬江ノ島駅が90年ぶりに生まれ変わることになった。駅舎の一部が重なり、幅員が狭くなっている駅前の都市計画道路を拡張する市の工事に伴い、建て替えられる。東京五輪を見据えて、市は駅周辺のバリアフリー化を進めるといい、駅前広場には五輪来場者や観光客ら向けの案内ブースも整えたい考えだ。
市が19年度に拡張工事を予定しているのは、市道の都市計画道路「片瀬江ノ島駅前通り線」。国道134号から駅前まで(約100メートル)の一部区間(約15メートル)が駅舎と重なっている。このため、最も狭い所で5メートルと道路幅が不足しており、市は小田急電鉄と協議し、駅舎の建て替えも合わせての工事を決めた。
竜宮城をイメージし、1929年に建てられた同駅は地元住民や観光客にも人気で、国土交通省の「関東の駅百選」にも選ばれている。ただ、開設から88年がたち、老朽化も指摘されていた。
小田急は「五輪前には竣工(しゅんこう)予定で、具体的な着工時期などは市と相談した上で決めたい」と説明。外観の竜宮城のイメージを残すのかなどの詳細は今後詰めていくという。
一方、市は都市計画決定されている駅前広場(約1,200平方メートル)などの整備も検討。地元経済界からあがる「殺風景」との声も受け、「東京五輪や観光案内ができるブースも設置したい」という。また既設の自転車駐車場用地に、障害者や高齢者らの車両やタクシーが停車できる場所の確保を考えている。
同駅の乗降者数は1日平均約2万人。駅前広場における滞留人数の最大値は138人に上り、混雑も見受けられるという。現在は駅前に車道が敷かれ、歩行者と自動車の動線が交差しているため、市は「地域住民の意見を聞きながら、車両の進入禁止を含めた車道の在り方についても検討したい」と話している。