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(写真・神奈川新聞社)

 

衆院選公示まで5日を切り、自民党が危機感を強めている。保守勢力の出現による支持層の分裂、野党共闘による候補一本化といった「政権批判」の受け皿の誕生に、県内の各陣営はピリピリムード。とりわけ神奈川を東京に次ぐ“主戦場”とする希望の党に対しては、「小池劇場」への埋没に神経をとがらせる。5日には安倍晋三首相が解散後初めて県内入りし、「新党ブームで日本の未来は切り開けない」と対決姿勢をあらわにした。

 

■「僕、犬好きだからね」

 

5日夜、横須賀市。自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎氏(11区)は、白い歯を見せた。視線の先にあるのは、2日前に小池百合子代表が発したひと言だ。

 

解散直後から、党代表の責任として衆院選出馬を訴える小泉氏の「正論」に対し、小池氏は「進次郎さんがキャンキャンとはやし立てるが、お父さんと約束しているから出馬はない」と応酬。あえて父の小泉純一郎元首相の名を挙げ、都知事に専念すると断言した。

 

野党とはいえ、同じ改憲勢力の希望。安倍首相らが小池氏との間合いを計る中、会見で出馬をけしかける菅義偉官房長官(2区)と並び、希望批判を展開する進次郎氏の言動が脚光を浴びる。自民関係者は「連日テレビ出演する小池氏が仕掛ける劇場型選挙のサプライズ効果を和らげるのが狙い」とし、自民側の焦りの裏返しとも指摘する。

 

希望の結党から約1週間。当初、小池旋風による熱狂の渦が首都・東京から巻き起こるとみられたが、民進党の合流を巡り公認の「選別」や選挙資金目当てとの報道が相次ぎ、勢いは限定的だ。それでも自民陣営の多くが、過去2回の衆院選の圧勝は「野党がダメという消極的選択の結果」と自覚しており、保守票を食いかねない不気味な風を警戒している。

 

5日、川崎市内で駅頭に立った安倍首相は「この選挙で競い合わなければならないのは政策。私たちは愚直に、誠実に政策を訴えていきたい」と新党の動きをけん制。同日夜に同党県連が横浜市内で開いた事実上の決起大会でも、定まらない戦いの構図と風向きを読めない選挙戦への引き締めを図る声が相次いだ。

 

足元では、8区で「ポスターを貼ったまま夜逃げした元副大臣」(県連幹部)の離脱や、党内で公認争いを繰り広げた4区の行方といった懸念材料も。政権選択の様相を見せる戦いに、県連の竹内英明幹事長は力を込める。「8年前に自民が政権を明け渡したのは風。決して楽観視せず、勝ちに行くだけだ」

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