(写真・神奈川新聞)
大磯町立中学校の給食で食べ残しや異物混入が相次いだ問題を巡り、生徒が自分たちの考えを町の施策に反映してもらおうと動きだした。町立2校のうちの一つ、大磯中学校(同町東小磯)の生徒会は昨年、全校生徒を対象にしたアンケートを実施、その結果を町教育委員会に近く提出する。町は「デリバリー方式」による給食再開を断念、新たな提供方法を検討し始めているが、生徒も自らの問題として向き合っている。
提供される側の思いも知ってーー。デリバリー方式の中学校給食で食べ残しの多さや、髪の毛や虫などの異物混入が発覚した昨年9月以降、そんな機運が生徒の間に芽生えていたという。
形になったのは、同10月に給食が休止になった後。生徒会が中心となって「スクールランチの今後について」と題し、全校生徒402人に向けたアンケート調査に取り組んだ。
実施に当たっては、外部に調理・配達を委託するデリバリー方式だけでなく、▽校内に新たに調理場を設ける「自校方式」▽町立小学校の調理場を改修し中学校分も作る「親子方式」▽共同調理場を新設する「センター方式」-の各提供方法の長所と短所を説明。四つの設問、選択式の回答も独自に考案した。
同12月の生徒総会では、その調査結果を全校生徒に報告。同校によると、家庭弁当の持参に切り替わっている現状に、91%の生徒が「満足」と回答、今後についても77%が「今のままがよい」と答えたという。
弁当の継続を選んだ理由としては、63%が「この間のようになるのが嫌」を選択。異物混入や、食べ残しにつながったとされる給食の冷たさの影響が後を引いているとみられる。一方、23%の生徒が給食再開を求め、希望する生徒の74%が「保護者が弁当をつくるのが大変」を理由とした。
また町が導入時からこだわってきた「全員給食制」を望む生徒は2割にとどまり、8割が弁当か給食かを選べる「選択制」。提供方法に関しては、自校方式が49%、親子方式が41%。センター方式が5%だった。
こうした生徒の動きに、ある保護者は「毎日お弁当を作る親の大変さを考えている生徒が多い」と感心する。校長は「真剣に考えたことをくんでいただきたい」とした上で「生徒は数年後に選挙権を持つ。議会や教育委員会などさまざまなプロセスや町の予算、施策を知る機会にもなる」と話している。
町は2018年度当初予算案に、前年度まで盛り込んでいたデリバリー方式の給食委託費を見送り、事実上再開を断念。代わって新たな調査方法を検討するため委託調査費を計上した。
近く結果を町教委に提出する予定の生徒会のメンバー8人は「生徒の意見を町や教育委員会にも届け、反映させてもらいたい」と声をそろえている。