上間陽子教授
沖縄県青少年育成県民運動の50周年を記念したシンポジウム「君たちの未来にYell エール」(県青少年育成県民会議主催)が7日、那覇市の県立博物館・美術館で開催された。上間陽子琉球大教授が「沖縄の若者の現状について考える―ふたつの女性調査から」と題して講演し、性風俗店で働く10代の女性への聞き取り調査を報告した。貧困やDV(家庭内暴力)、学校からの排除などで孤立した女性たちを理解し、寄り添って話を聞いて支援していく大切さを訴えた。
県内各地の学校や行政、青少年育成支援団体の関係者ら約250人が参加し、満席で立ち見も出るなど関心を集めた。
上間陽子琉球大教授の講演を聞き、質問する参加者ら=7日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館
上間教授は2012年から始めた調査で、性風俗で働く若い女性たち18人に聞き取りをしたことを報告した。恋人など親密な他者からの暴力を受けた被害者が多いことや、13~14歳からキャバクラで働く女性が多くなるなど低年齢化している現状などを指摘した。
上間教授は「初期の頃は(調査対象者と)会うことが大変。会い続けられる関係をつくるのが肝だと思う。話を聞くのは本当に難しい」と振り返り、支援する場合でも子どもに寄り添い、耳を傾ける関係の構築を求めた。
校則やルールを守らないことを理由に学校から排除されている子どもたちが風俗店などを居場所にしていく傾向を踏まえ「ルールどうのと言っていられない、待ったなしの子たちがたくさんいる。何とか支えていかないといけない」と述べ、学校が排除している状況を改め、支援を進める必要性を強調した。
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