【南大東島で照屋大哲】大型で非常に強い台風10号が直撃し、5日昼過ぎから強い雨が打ち付け、暴風が吹き荒れた大東島地方。倉庫の屋根や壁のトタンが吹き飛ばされ、サトウキビはなぎ倒された。民家のガラス窓にトタンが飛んで来て、ガラスが割れる被害も起きた。停電も断続的に続き、避難所生活が2日目となった住民は「眠れなかった」「風呂に入りたい」と疲れた表情で語った。
5日朝、南大東島の村多目的交流センターでは避難者がテレビで台風情報を確認したり横になって体を休めたりする姿が見られた。新型コロナ感染防止対策として、センターでは舞台などの空きスペースも最大限活用した。4日夕方から弟(75)と共に避難した仲程次郎さん(82)は初めて避難所で夜を明かした。「寒くて眠りづらかった」と細い腕をさすった。
5日午後には風雨が強まった。センターの室内でも「ボーボー」と吹き荒れる暴風の音が聞こえ、カーテンの隙間から心配そうに外の様子を眺める避難者もいた。家が近所だという我那覇秀子さん(72)と新垣優子さん(44)は4日から一緒に寝泊まりした。我那覇さんは「避難できる場所があるだけ、ありがたい」と話す一方で「家は木造トタン屋根で飛ばされないか心配」と気をもんだ。新垣さんは「暑かったり寒かったりしてあまり眠れなかった。とにかく風呂に入りたい」と疲れた様子で話した。
夕方になると、暴風はさらに勢いを増し、トタン造りの倉庫の屋根や壁が吹き飛ばされ、周囲には残骸が散らばっていた。
北大東島でも午後から風が強まり、折れた枝が道路をふさいだ。午前中から断続的に停電に見舞われたサトウキビ農家の染井末広さん(61)の家には、暴風で飛んで来た枝葉があたり「バチバチ」と音を立てた。窓から見えるサトウキビはなぎ倒されていた。「今は過ぎ去るのをじっと待つだけ」と辛抱強く語った。
4日夜から家族5人で宿泊施設「ハマユウ荘 うふあがり島」に自主避難した宮城彩野さん(42)は、家が木造トタン屋根のため「怖い。不安しかなかった」と心配そうに話した。