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2019年10月に発生した首里城火災について、那覇市消防局が損害額を約52億8576万円と算定したことが4日、分かった。琉球新報が情報公開請求で入手した火災調査書に記載されている。首里城火災の損害額が明らかになるのは初めて。正殿を含む6棟が全焼、2棟が部分焼となり焼損床面積は約3813平方メートルだった。火災原因についてはこれまで通り、焼損が激しく証拠などが特定できないため「原因不明」とした。

 

損害額の内訳は建築物が約50億5623万円、美術工芸品などの収容物が約2億861万円、イベント業者らの損害が約2091万円。地下にある世界遺産の遺構の損害額はゼロだった。建築物の損害額の内訳は、正殿が約24億7223万円と最も高く、黄金御殿の約7億6371万円、北殿の約5億5044万円と続いた。

 

損害額は沖縄美ら島財団などが提出した資料を基に、消防庁の計算式で算出した。50億円超の損害額は市消防局が調査した中で「これまでにない額」だという。調査書の公表までに約1年4カ月かかったことについては「注目されているため、詳細にまとめるのに時間を要した」としている。

 

NPO法人日本防火技術者協会の鈴木弘昭理事は「調査書は詳細に記載されている。電気系統設備付近にショート痕がこれだけ見つかるのは、これらの中に出火元があるからではないか。再発防止へ向け、新たな首里城では消火設備を適切に設置してほしい」と話した。

 

沖縄美ら島財団によると、保険に関わる損害額については、消防の算出額とは別に保険会社が査定するという。

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