LINE退任の森川亮氏 気になる次の一手は「動画で世界へ」(前編)

投稿日: 2015年04月10日 10:00 JST

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「いま、もうフラフラです。1日3時間くらいしか寝ていないので」と語るのは、LINE株式会社を3月31日で退任した森川亮氏(48)だ。

 

無料通信アプリ「LINE」のサービス開始から3年9カ月、登録ユーザー数は全世界で5億6000万人、月間アクティブユーザー数は1億8100万人を突破している。それを率いてきた森川氏だけに、突然の退任は世間を大いに驚かせた。そんな彼が、会社を設立。4月10日に新サービスを開始するという。気になるその全容とは――。本人に、直接話を聞いた。

 

●新会社は「C Channel株式会社」

 

取材の場に森川氏が選んだのは、原宿にあるレンタルオフィスだった。上場すれば時価総額1兆円規模とも言われる巨大企業の元社長にしては、少し意外な場所。だがここで約10人の社員とともに世界を見据えた新サービスを用意していたのだ。この日、差し出された名刺には「C Channel株式会社代表取締役社長」の文字。これが森川氏の掲げる“次の一手”だ。

 

「C Channel」とは、ファッションやグルメや旅行などを紹介する女性向けの動画ファッションメディア。モデルやタレントが「クリッパー」と呼ばれる投稿者となり、動画を配信する。YouTubeなど従来の横長の画面とは違い、スマホに沿った縦長の画面が特徴。当初から海外進出を見据え、日本語版、英語版、中国語版なども出していく予定だという。

 

「今回の事業は、グローバルに通用するメディア企業を作るべく始まりました。アメリカでは動画が盛り上がっていて、動画広告市場も伸びている。今後はそれがどんどん入ってきます。いっぽう日本はまだ保守的で、動画もコアユーザー向けのものが多い。でもkawaiiや和食など世界に発進できるものが多いはず。そこで若い女性が見るもっとマス向けのものができないかと考えたんです。『C Channel』のCはコミュニケーションのC。これからは動画でコミュニケーションする時代なので、そこに合う新メディアとして作りました」

 

起用するのはきゃりーぱみゅぱみゅ(22)らが所属する『ASOBISYSTEM』のモデルや読者モデルなど約100人のほか、海外モデルとも現地契約予定。一部を社員として採用し、彼女たちが直接編集や配信を手掛けることにより、動画ビジネスの課題だったコスト削減と配信のスピード化を実現する。ターゲットは10~20代の女性。好きなクリッパーの動画にシェアやフォローをつけることで、タイムライン上にはその人にマッチした動画が並ぶようになる。

 

「女性をターゲットにしたのは、次につながりやすいからです。LINEでの経験上、若くてきれいな女性が使い始めると、男性もついてくる。逆に男性だけが集まると、女性は離れていきますからね(笑)。今はおしゃれで若いコが共感するメディアがないので、昔のMTVのファッション版のようなものを目指しています。動画は1分。もう少し短くなるかもしれませんが、電車内で音声を消していても楽しめるものにしたいと思っています」

 

●PV至上主義ではなくブランド重視

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収益の柱は、動画広告とEコマース。クリッパーが作ったり集めたりした服やアクセサリーの販売を予定し、さらに「C Channel」ブランドとのコラボ商品も展開していく。その際に重要となるのは、4月19日に完成予定の新オフィスだ。原宿のカフェなどが立ち並ぶ一角に構え、オープンスタジオとなる1階では動画撮影を行うだけでなく週末イベントも開催。そこで商品販売も行うなど、インタラクティブな展開を目指しているという。

 

「LINEのイメージカラーが緑だったので、今回は黄色。オフィスも黄色で統一し、夜はライトアップする。原宿の新たな注目スポットになるのではないかと思っています。Eコマースについては、いま流行っているフリマの動画版といったイメージ。ある意味『自分がセレクトショップ』という形ですね。その他にも、細かいところでいえばアドテクの開発をやろうと思っています。ゆくゆくは広告とコンテンツが混ざり合う、そんな形を目指しています」

 

広告展開と切っても切り離せないのが、集客。クライアントは「どれだけ広告が見られたか」を重視するため、メディアはPV至上主義とも言うべきページビュー獲得競争を激化させてきた。だが森川氏はその流れに乗らず、あえてコントロールする道を選ぶという。新サービスでは誰でもクリッパーになれるのではなく、選ばれた人だけが出られるように制限。何でもアップできるのではなく、「今週はバレンタイン特集」など一定のテーマ性のなかで参加してもらう。出資も、ブランドイメージに賛同する6社から5億円だけ受けた。

 

「PVを追い求めると、どうしても刺激的なものばかりが並ぶようになってしまう。しかし、それではいっとき盛り上がってもすぐに無くなってしまう。ナショナルクライアントもつかないでしょう。だから、まずブランド力をつけることを考えたい。動画で言うと視聴回数より視聴時間を大事にするべきだと思います。海外でも結局、生き残っているのはブランドを構築できたところだけ。ネットの世界は、数より質に転換してきている。質がよければ、アクティブユーザーが10万や20万でもそれなりに納得感が出てくるんです」

 

初年度の見込みについては「正直、未知数」としながらも、数百万のアクティブユーザー獲得を目指しているという。そこには“元テレビマン”としての思いもあるようだ。1989年に日本テレビ入社し、2000年にソニーへ転職。’03年にハンゲーム(現LINE)に移った森川氏。メディア出身者として、現状のWEBメディア乱立の時代に一石を投じる。

 

「数を追わず日本だけでサービスを黒字化していくのは、なかなか収益化は難しい。そこで海外展開も視野に入れたプラットフォームを作りたいと考えました。また今のキュレーションメディアやバイラルメディアなどは、本当にメディアをわかっている人がやっていないところが多い。そうすると、どんどん胡散臭い方向に向かっていく気がします。もはや、メディアなのか寄せ集めなのか分からなくなっているところもある。私たちはきちんとメディアとしてコンテンツを作り、それを相手に伝えることをコアにしたいと思います」

後半に続く>>

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