わずか8歳で性暴力被害に…実名女性明かす「心身まひ」の過去

投稿日: 2016年12月11日 06:00 JST

image

 

子どもをターゲットとした性犯罪をはじめ、今年は、慶應大、東大、近畿大、千葉大などの大学生による集団レイプ事件の報道が続いた。

 

「ニュースで報じられるのは、ほとんどが犯人逮捕のときであって、『命に別状はなかった』というと、それで解決と思われがちです。でも、被害の当事者と家族にとっては、そこから大変な時間が始まります。自分を取り戻すための闘いと回復へ向けてのスタートなんです」

 

11月11日、大分県大分市にあるアイネス(大分県消費生活・男女共同参画プラザ)。講義室の壇上で工藤千恵さん(44)は語る。快活な口調でなごやかに始まった講演会だったが、工藤さんが自身のプロフィールを語りはじめた途端、会場はしんと静まり返った。

 

「私が性暴力の被害に遭ったのは8歳のときでした」(工藤さん)

 

〈過去とともに生きるということ〜性暴力サバイバーの闘いと回復〉と題されたこの日の講演会は、「女性に対する暴力をなくす運動期間」にちなんでの開催であり、「おおいた性暴力救援センター・すみれ」の開設記念でもある。被害直後から一つの窓口で総合的な支援を受けられる「すみれ」だが、半年間ですでに130件もの問い合わせがあった。

 

工藤さんの肩書は、「性暴力サバイバー」。8歳で被害に遭い、「私は汚れている」と自暴自棄になり、さまざまな依存症にも苦しんだ。そんな三十数年を生き抜いてきた工藤さんは、2年半前から実名で自らの体験を講演している主婦であり、母親だ。これまで自分がどんな思いで、どんな生活を送ってきたかを工藤さんは語った。90分間の講演の締めくくりは、とりわけ力強かった。

 

「過去は消すことができません。でも、今この瞬間から、未来をどう生きるかは自分で決められる。私は、つらい経験こそが、いまでは自分へのギフトだったと思います」(工藤さん)

 

1972年3月20日、温泉観光地として名高い大分県別府市に生まれた工藤さん。青果の仲卸業を営む両親のもと、3歳年下の妹と祖父母の6人家族のなか、明るくおしゃべりな少女として成長していた。そう、あの事件の日までは。

 

8歳。小学3年生の工藤さんは、帰宅後にそろばん塾に行った。知らない中年男に「遊園地に行く道を教えてくれませんか」と声をかけられたのは11月12日の夕方4時過ぎ、いつもの帰り道を歩いていたときだ。子どもながら不審に思い、「知りません」と駆け出そうとしたその瞬間、ガッと手首をつかまれた。押し殺した低い声で「声を出したら殺すぞ。一緒に来い」と男は言うと、そのまま引きずられるように連れ去られた。「助けて」と叫びたくても、恐怖のあまりかすれ声すら出なかった。涙がぽろぽろとこぼれた。

 

「覚えているのは、連れていかれる私を同級生たちが遠巻きに見ていたことです。なぜ助けてくれないのか悔しかった。でも、あとで警察から聞いたのは、誰もが親戚か何かだと思っていたと」(工藤さん)

 

連れ込まれたのは、1キロほど離れた畑のビニールハウスの隙間。押し倒されて触られ、なめられたときも、怖くて抵抗ができなかった。通行人の通報によって、警察官たちが駆けつけたのは、被害に遭っている最中だった。

 

「気づいたら、十数人の警察官に囲まれていました。『助かる』と思うと同時に、見られてはいけないところをこんなたくさんの人に見られた、悪いことをしてしまったと」(工藤さん)

 

犯人は、50代後半の男で酒に酔っていた。警察署での事情聴取後、工藤さんは母親にこうつぶやいた−−「わたし、汚れちゃった」。

 

悪いのは間違いなく加害者なのに、性暴力の被害者は自分を責め、自分の存在や性を否定するようになる。女性の摂食障害や性的虐待による心的後遺症を専門とする精神科医・上村順子さんは次のように解説する。

 

「性の部分は人の根源的なものですから、自分の存在そのものを侵されたという認識につながります。まして人格形成の途中である小幼い年齢では、いつも不安や恐怖で神経を張り詰め、回復もそれだけ大変になります。緊張感を緩和したくて、買い物やアルコール、セックスなどの依存症になったり、摂食障害になる人も多い。極端に痩せる、極端に太ることで、性的存在である自分を消そうとするんです」

 

性暴力は、まさに“魂の殺人”だと工藤さんは言う。

 

「体だけでなく心もすべて、“イヤなもの”に無理やり支配されてしまったという感覚に陥りました。その後も生きる気力をそがれ、自分の人生が自分のものではなくなる。性暴力自体が、性欲よりも支配欲によって起こる犯罪なんですね。だから男は女を狙うし、もっと弱い人間は子どもを襲うんです。自分より弱い者を支配し、満足するために」(工藤さん)

 

現在、工藤さんは講演会や性教育講座で日本全国を飛び回っている。この1年半で30回というペースだ。講演後の控室には、「私も当事者なんです」と泣きはらした目で訪れてくる女性も多いという。内閣府の発表によれば、’14年度の「13歳未満の子どもが対象の性暴力」は、強姦77件、強制わいせつ1,095件。だが、これは警察が把握している数にすぎない−−。

【関連記事】

「権力をしばく!」ニューハーフ弁護士が明かした壮絶過去

ニューハーフ弁護士、初めての事件は“ぼったくりバー突撃”
自閉症の息子と母 力合わせ切り絵展

この記事が気に入ったら
いいね!/ フォロ− しよう

WEB女性自身の最新の情報をお届けします。

あなたにオススメ

【注目アイテム】
「メスを使わない美容整形」コルギのパワーを自宅で!!
ジェニファー・ロペス、カイリー・ミノーグが「約20歳年下彼氏」を手に入れたワケ!
45歳、奇跡の美乳・原志保さんのボディを作るヒミツのグッズ公開!!
着るだけで、エステの効果がインナーに!!
可愛い47歳! 元CA佐藤亮子さんの大人気トラベルブランド

コラム・連載

もっと見る

女性自身チャンネル

もっと見る

スヒョン入隊前の心境を吐露!U-KISSみんなで乗り越える新曲2017.10.17

U-KISSが14枚目のシングル『FLY』をリリース! 4月にケビンが卒業して以降、5人体制で挑むはじめてのシングルは苦しいことを乗り越えて前に進もうというメッセージが込められている。楽曲、そしてリ...


ランキング