家族の理解深く…「性暴力サバイバー」が実名講演を行う理由

投稿日: 2016年12月11日 12:00 JST

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女性の15人に1人は異性から無理やり性交された経験がある(平成27年3月 内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」)。’14年度の強姦件数は1,250件、強制わいせつは7,400件。被害を届けるのは18.5%(平成27年度 法務省「犯罪白書」)とされ、実際には推定5万人の被害者がいる。

 

工藤千恵さん(44)は、8歳で性暴力の事件に遭って以来、死んだように生きてきた。最大の理解者となる夫と2人の娘を得、社会にやっと生還した彼女は、実名を明かして語り始める−−。

 

「ニュースで性暴力が報じられるのは、ほとんどが犯人逮捕のときであって、『命に別状はなかった』というと、それで解決と思われがちです。でも、被害の当事者と家族にとっては、そこから大変な時間が始まります。自分を取り戻すための闘いと回復へ向けてのスタートなんです」

 

11月11日、大分県大分市にあるアイネス(大分県消費生活・男女共同参画プラザ)。講義室の壇上で工藤さんは語る。快活な口調でなごやかに始まった講演会だったが、工藤さんが自身のプロフィールを語りはじめた途端、会場はしんと静まり返った。

 

「私が性暴力の被害に遭ったのは8歳のときでした」(工藤さん)

 

〈過去とともに生きるということ〜性暴力サバイバーの闘いと回復〉と題されたこの日の講演会は、「女性に対する暴力をなくす運動期間」にちなんでの開催であり、「おおいた性暴力救援センター・すみれ」の開設記念でもある。被害直後から一つの窓口で総合的な支援を受けられる「すみれ」だが、半年間ですでに130件もの問い合わせがあった。

 

工藤さんの肩書は、「性暴力サバイバー」。8歳で被害に遭い、「私は汚れている」と自暴自棄になり、さまざまな依存症にも苦しんだ。そんな三十数年を生き抜いてきた工藤さんは、2年半前から実名で自らの体験を講演している主婦であり、母親だ。これまで自分がどんな思いで、どんな生活を送ってきたかを工藤さんはこの日、語った。

 

工藤さんが初めて講演会という形で、自らの体験を語ったのは’14年4月、42歳になったばかりのとき。それまでも、信頼できる人たちには少しずつ自分の過去を話せるようにはなっていた。

 

「そのことで、離れていく人はそれだけの関係なんだと思えるようになったんですね。私には、家族という帰れる場所があるという安心感ができていたからだと思います」(工藤さん)

 

それだけに、ほかの性暴力被害者はどうしているのだろうと気にかかった。小さな会合に参加したところ、それぞれが苦悩を抱え、回復の度合いも違う。が、さまざまな依存症も含めて工藤さんが素直に語ると、「自分だけじゃなかった」と安堵の声がこぼれた。少しでも役に立てたことがうれしかった。

 

工藤さんはもっと活動したいと思っていたところに、大分市の犯罪被害者支援センターでの初めての講演後、会場で聞いていた新聞記者から取材の申し込みがあった。地元紙の一面に4日間の連載をしたいと言う。それも、「実名公表で」とのことだった。

 

「私はすぐ、受けたいと思いました。匿名や顔を出さずに出ても、性暴力を受けても前向きに生きる私が本当に存在していると、同じ被害者の方たちに感じてもらえないと思ったから。実名を出すのは、『事件も私もフィクションではない』ということです。ただ、家族の誰か一人でも反対すれば断るつもりでいました」(工藤さん)

 

夫は理解してくれた。当時高校2年生だった長女も背中を押した。「ママ、誰かの役に立ちたいんでしょ。ママがしなくて誰がやるの」と。娘が学校で何か言われることも心配だったが、長女は「大丈夫よ。私、言い返せるから」と胸を張ってくれた。

 

「もう、長女は仙人みたいで(笑)。こうした家族の後押しがあって、私は大きく踏み出せました。それが今日につながっているんです」(工藤さん)

 

現在、工藤さんは講演会や性教育講座で日本全国を飛び回っている。この1年半で30回というペースだ。講演後の控室には、「私も当事者なんです」と泣きはらした目で訪れてくる女性も多いという。

 

「私が発信することで、多くの人に被害者の実態を知ってほしいんです。世の中の偏見をなくすことで、当事者の生きにくさを軽減できればと」(工藤さん)

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