8月30日付の英国タイムス紙が、2020年東京五輪でトライアスロンの会場となるお台場海浜公園の海水は、安全基準の数百倍を超える大腸菌の数値である、と報じた。

 

これに対して怒りをあらわにするのは、日本トライアスロン連合専務理事の大塚眞一郎さんだ。

 

「あのような記事が出たことは、非常に心外です。過去18年間、毎年お台場海浜公園で大会を行っていますが、競技参加者が体調などの問題を起こしたことは一度もない。国際トライアスロン連合の水質基準値というのがあり、大会前独自に水質調査を行って安全を確認してから開催しています」(大塚さん)

 

現在、東京都には、離島以外に海水浴場は一つもない。理由は“水質がよくない”から。国か定める水浴場水質判定基準によると、100ミリリットル中、糞便系大腸菌群数が1,000個以下でなければ海水浴場としては『不適』となる。

 

本年度、東京都が行った水質調査で、お台場海浜公園における糞便系大腸菌群数は、8月5日5万1,200個。8月26日2,850個。いずれも、国の水質判定基準を超えていた。つまり海水浴場としては『不適』な場所なのである。

 

このような海で泳いだ場合、健康面でどんな問題が起きるのか。消化器外科の白山才人医師に聞いた。

 

「糞便系大腸菌群はほとんど無毒です。ただし菌の量によっては、下痢を起こす可能性はあります。問題なのは、多く検出されているということであれば、ほかの大腸菌も含まれている可能性がある。無毒とはいえ、国の水質基準を超えた数値ならば、水質がいいとは言えません。下痢、嘔吐はしないが、ウンチまみれの海で泳ぎたいかといえば、泳ぎたくない。精神衛生上よくないということです」

 

測定する時期や場所、天候によって、水質は大きく変わる。東京都スポーツ振興局招致推進部はこう言う。

 

「雨が降った後に糞便系大腸菌群数が高くなることは把握しております。だからといって、お台場海浜公園がトライアスロンの会場として不適であるということではありません。変更するという議論も出ていません。東京都としても下水処理対策など、改善して進めております」

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