マスク姿の厳戒体制で韓国入りした(写真:アフロ) 画像を見る

2月6日から韓国・ソウルで開催されたフィギュアスケートの四大陸選手権で初優勝を果たした羽生結弦(25)。ショートプログラムでは世界歴代最高得点を更新し、主要国際大会6冠を果たす男子史上初の“スーパースラム”も達成するなど、五輪連覇に続いて伝説を作っていた。

 

しかし、12月のGPファイナルではライバルのネイサン・チェン(20)に完敗。直後の全日本選手権でも宇野昌磨(22)にも続けて敗れることに。四大陸選手権直前には、プログラムを平昌五輪でも披露した『バラード第一番』と『SEIMEI』に戻すという異例の決断をしていた。一部では、そんなかつての“絶対王者”の行く末を心配する声も……。

 

そして、悩みぬいた先に羽生が選んだ『SEIMEI』。長年、羽生を取材してきたスポーツライターの野口美惠さんは、こう語る。

 

「昨シーズンから滑ってきた2曲は、“憧れの選手へのオマージュ”という意味合いも強く、自分自身の曲ではありません。本当の自分らしさを追求していくうえで『原点に戻りたい』という思いが強くなったのだと思います。その点、今回の『バラード第1番』と『SEIMEI』は、330.43点という歴史的得点を獲得した羽生選手の魂ともいえる曲です」

 

そして、羽生はついに“真の原点”にたどりついたようだ――。

 

「五輪連覇という大きな目標を達成したことで、羽生選手は4回転半や憧れだった選手に近づくことにこだわってきました。そして同時に、幼いころ抱いていた“スケートを滑る楽しさ”から遠のいてしまったのでしょう。連敗したことで自分と向き合い『過去の栄光を捨てて、また挑戦者としてスケートを楽しもう』という思いが芽生え、プログラム変更も決意したのだと思います。これでまた“本当の勝負”の世界に戻ってきた羽生選手が見られるはずです」(フィギュア関係者)

 

初心に帰った羽生だが、果たして“宿敵”であるネイサンに勝つことはできるのだろうか。スポーツライターの折山淑美さんは、こう分析する。

 

「勝ちたいという気持ちはもちろんあるはずです。ネイサン選手は難度を上げる構成にしてきていますが、羽生選手も自分のプログラムを完璧にできるようになれば競り合うこともできるし、勝つこともできると考えているはずです」

 

野口さんも太鼓判を押す。

 

「技術的にも精神的にも成長した羽生選手が、再び魂を込められるプログラムに戻る。それによって、素晴らしい融合が期待できます。羽生選手は“化学反応”を求めているのでしょう」

 

3月16日から羽生の拠点があるカナダで開催される世界選手権。“脱皮した”羽生がライバルを迎え撃つ――。

 

「女性自身」2020年2月25日号 掲載

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