研究のために定期的に連絡を取り合っていたとはいえ、主なやり取りはスカイプなどネット上だった羽生と西村教授。それだけに、実際に顔を合わせたときの思い出は強く心に刻まれているそう。
「羽生さんと直接、会ったのは4~5回ほどですね。アイスショーの後に研究の打ち合わせを兼ねて会ったときのことが印象に残っています。彼はショーが終わったのにずっとスケート靴を履いたままで、靴を脱ぐ間も惜しんでファンと写真を撮ったりして触れ合っているんです。本当にファンを大切にしていて、自分は最後にするんだなと思いました。
私のところにも『先生、一緒に写真を撮りましょう』と言って来てくれて。そのときの写真はいまでも大切にしてあります」
羽生の両親とも会ったことがあるという。
「お母さんは羽生さんの体調をすごく心配されていました。お父さんもケガやプレッシャーに悩む息子さんを見ていてつらかったと思います。お2人とも奥ゆかしいというか、それでもお子さんへの愛情が感じられて、やっぱり羽生さんのご両親だなと感じました」
卒業直前、西村教授は羽生にこんなことを言われていたという。
「日ごろ、論文のやり取りで彼からは感謝の言葉をたくさんもらいましたが、“先生に褒められたのがうれしかった”と言ってくれたのが、いちばんうれしかったですね」
最後に、多忙の合間を縫って卒業した羽生へ激励のエールを送る。
「少し休む時間があったので、まずはコンディションをしっかり元に戻して、焦らずにゆっくり再始動していただければと思いますね」
羽生の研究が、フィギュアスケート界を変える日も近いかもしれない――。
「女性自身」2020年12月1日・8日合併号 掲載
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