JOC最年少理事に就任した高橋成美さん 画像を見る

「これが結弦くんで、これが私。隣にいるのがプルシェンコ選手です。’10年の夏にあったアイスショーのときの写真です」

 

懐かしそうに写真を見せてくれたのは、フィギュアスケートのペアで活躍した高橋成美さん(29)。高橋さんは’14年にソチ五輪に出場。’18年に選手を引退し、昨年、女優への転身を発表している。

 

役者業と並行して、コーチとして後輩の育成も行っている高橋さんだが、今年6月、日本オリンピック委員会(JOC)史上初の“20代理事”に選出された。

 

「私は思ったことをはっきり言うほうなんです。そのような私の性格をご存じなのにもかかわらず理事に選んでくださった勇気に敬意を持つと同時に、わくわくした気持ち、そして私に何ができるんだろうという不安も感じています。

 

いまJOCにとって、東京五輪と、その先のスポーツ界と社会の関係性が、しっかりと取り組んでいかねばならない課題。これまでの積み重ねもあるので私はまずは現状を知ることに注力しています」

 

高橋さんは自分が選出された理由を、JOCが近年“多様性”を重視しているためだと考えている。

 

「男女比率はもちろん、さまざまな背景、専門性をもつ人にも携わってもらい多面的な意見をもっと組織運営に反映させようという意向があるようです。私だけでなく、フェンシング元日本代表でトランスジェンダーを公表されている杉山文野さんも抜擢されていますし、いろいろと考えられた編成だったんじゃないかと思います。JOCの山下泰裕会長も『これからみんな本音で話し合って、どんどん発展させていきたい』とおっしゃっていました」

 

高橋さん自身がJOC理事として向き合っていきたい課題もある。

 

「私自身、海外で暮らしていたときには国籍の問題にぶつかることもありました。一方で練習環境がなくて住んでいた場所から離れて練習をしなければならなかったりもして、スポーツをする環境面の心配事が多かったんです。

 

ですから、アスリートはもちろんあらゆる人たちが練習したい、スポーツをしたいときに練習できる当たり前の環境をつくりたいという気持ちがあります。私だけでなく、周囲のフィギュアスケート選手も同じような苦労をしてきました。そういう苦労を後輩たちにさせないという強い気持ちが“みんな”にあるのを感じています」

 

高橋さんの話す“みんな”のひとりが、羽生結弦選手(26)だ。羽生選手が地元・仙台のリンクの環境を整えるために多額の寄付をしているのは有名な話。

 

「彼自身、東日本大震災でリンクが使えなくなってしまってどこで練習したらいいかわからないという状態のときもありました。そのときは練習ができなくてスケートをやめてしまったコもいるんです。

 

そもそも日本のフィギュアスケート選手たちは、海外に比べてリンクを使う時間が極端に少なかったりして、海外選手から見たら“信じられない”と驚かれるような環境でやっています。浅田真央ちゃん(30)もですが、結弦くんも後輩たちのことをすごく考えています。後輩がちょっと“練習環境に悩んでいる”といったことを言っていたら、すごく考えてあげたりしているんです」

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