羽生結弦 元強化部長明かす同期のなかで“3番目”だった子供時代
画像を見る (撮影:西村尚己/アフロスポーツ)

 

■羽生は、悩んだ末に選んだ最後の1人だった

 

前述の羽生と出会った合宿とは、“野辺山合宿”と呼ばれるものだ。ノービス世代の有望な選手を対象に日本スケート連盟が毎年開催しており、才能の発掘、育成を目的にしている。

 

ただ城田さんは、このときは、羽生に強い印象を覚えていたわけではなかったようだ。

 

「野辺山合宿のときは、本当に大勢の子がリンクで滑っているんです。そのなかから、“この子は”という子を選ぶんですね。そのなかで、羽生は、音楽に合わせて体を動かす能力がほかの子より長けていたんです。

 

ただ、びっくりするくらいよくできる、というほどではなかったと思います。やっぱり子供がやることですから、適度にできる子だ、という目で当時は見ていましたね」

 

強化部長だった城田さんは、この合宿で羽生の年代から3人の選手を強化対象として選んでいる。田中刑事選手、日野龍樹さん(’21年現役引退)、そして羽生だ。前の2人はすんなり決まったものの、迷ったすえに最後の1人として選んだのが羽生だったという。“3番目”とは、今となっては驚きだ。

 

「その後も、田中刑事くん、日野龍樹くんは国内外の大会でいい成績を残していましたが、羽生は一歩出遅れている印象でした。それがあるときパーンとひっくり返ったといいますか、抜きん出てきたんですね。やはり小さいうちに伸びるか、大きくなって伸びるかは選手によって違いますので、見極めが難しいところなんです」

 

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