「演技の途中で紙コップを手に取った羽生くんが、中の水を頭からかぶったんです。観客は声を出しちゃいけないのに、みんなびっくりして“ああっ”なんて声を漏らしていましたね」(羽生ファン)
5月27日に開幕したアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」で水も滴る妖艶な姿を見せた羽生結弦(27)。北京五輪以来、3カ月ぶりに公の場での演技を見せる“再出発の舞台”となった。
本誌はこれより数日前、千葉県内のアイスリンクから出てきた羽生を目撃している。
運転手の男性にお辞儀をしながら送迎のワゴン車に乗り込む。礼儀正しさは相変わらずだが、その姿は以前よりほっそりと痩せたように見えた。乗り込んだワゴン車に母親も同乗。スタッフも乗せてリンクを去っていった。
この日はショーのリハーサルが行われていたのだという。
「初日の数日前から関係者が集まって朝から晩までリハーサルをしていました。出演者には羽生選手と親交の深いスケーターが多く、合間には試合のときには見られないようなリラックスした笑顔を見せていましたね」(ショー関係者)
出演者には、羽生の憧れの存在であるジョニー・ウィアー(37)や同門のハビエル・フェルナンデス(31)も。さらに……。
「同期の田中刑事くん(27)との再会も羽生くんにはうれしかったんじゃないかな。刑事くんが4月に現役を引退したこともあって、お互いにいろいろと話すことがあったと思います」(別の羽生ファン)
ファンの間では、今回のショーの期間中に羽生から自身の進退についての言及があるのではないか、と噂もされていたという。
ファンが羽生の進退を心配する背景には、彼が姿を見せなかった3カ月で、フィギュア界が急速に変化していることもある。
前述の田中の引退もそうだが、なにより大きいのがここ数年、羽生の一番のライバルと言われてきたネイサン・チェン(23)の現状。
「ネイサンは米国メディアに『来季(の試合出場)はないと思う』と話しています。このまま引退する可能性が高いとみる識者も多いです」(スポーツ紙記者)
最近では、米国のイリア・マリニン選手(17)が練習で、前人未到の4回転半ジャンプを成功させるなど、新世代も台頭している。
いま羽生は何を思うのかーー。
ショー前日に放送されたテレビ朝日のインタビューで、羽生は長年挑んできた4回転半ジャンプについて聞かれ、次のように話した。
「自分がフィギュアスケートをやっているなかでの熱量の根源みたいなものなので、ずっと目指していけたらいいなと思います」
とりあえず4回転半についてはまだまだ諦める気はなさそうだ。ショーを眼前で見た冒頭のファンは熱を入れてこう話す。
「動きにさらにキレが出たように見えました。新しい姿を見せてくれることに感動しましたね」
決して諦めない男・羽生の進化はまだ続くようだ。