残すところ準決勝と決勝の3試合となった「第104回全国高校野球選手権。今大会は3年ぶりにブラスバンドでの演奏が本格的に復活するなど“かつての甲子園”が戻るなか、人々の注目を集めたのが強豪・大阪桐蔭だ。
今春行われた「第94回選抜高校野球大会」で優勝し、歴代2位となる春夏合わせて9回の優勝回数を誇るまさに“絶対王者”な大阪桐蔭。今大会の地方予選でも、全7試合で失点はたったの1点という圧倒的な強さで甲子園へのチケットを手にした。
10日に迎えた1回戦では、旭川大高に一時リードを許すも、6-3の逆転勝利。2回戦の聖望学園高戦では19-0と一方的な試合運びを見せ、続く3回戦の二松学舎大付高戦でも失点を許すことなく4-0で勝利し、順当に駒を進めた。
そんななか迎えた18日の第4試合の下関国際戦。これまで2度春夏連覇を果たした大阪桐蔭だが、今大会で優勝すれば史上初となる3度目の栄冠に輝くことに。偉業達成に向けた大一番だったが、待っていたのはまさかの展開だった。
初回に2点を奪い幸先のいいスタートを切るも、下関国際も反撃し、6回終了時には3対4の拮抗した展開に。1点リードで迎えた7回裏の攻撃。無死一塁二塁という絶好の好機で7番の大前がバンドエンドランを試みるも、これが失敗し、トリプルプレーに。チャンスを逃した大阪桐蔭はその後、9回表に下関国際に逆転を許し、そのまま敗退することとなったのだ。
激闘の末の敗退に選手たちはベンチ前で号泣。大阪桐蔭の西谷監督は試合後、「日本一というか、春夏、秋の三連覇ということで、そればかりを考えて3年生を中心にやってくれた」「子供たちは何一つ悪いことなく、一生懸命に最後までやってくれた」と奮闘した選手たちを労っていた。
偉業達成目前で今大会から姿を消した大阪桐蔭だが、実はその裏でSNS上ではある論争が起きていた。前述の通り圧倒的な実力を誇り、プロ野球の第一線で活躍する巨人の中田翔(33)や西武の森友哉(27)といった名だたる選手を送り出してきた大阪桐蔭。スカウト活動により、全国各地から優れた選手を集めることでも知られている。
しかし、一部ではそんな強すぎる大阪桐蔭を快く思わない人もいるようだ。今大会で順当に勝ち上がる大阪桐蔭に対して、こんな声が。
《大阪桐蔭強すぎて高校野球つまらないわ》
《大阪桐蔭、恨みはないがだんだん腹たってくるんですよねぇ。 一極集中がすぎますよ。 早く格差を是正してほしいですね、ますますつまらないと感じる人が増え続けるだけですよ(呆れ)》
《大阪桐蔭が昨日は19-0で勝利。 強すぎて高校野球がつまらない》
格差の是正を訴える人まで登場した大阪桐蔭の圧倒的な強さだが、多くの野球ファンはこうした声に否定的なようだ。SNS上では、こんな反応が相次いだ。
《大阪桐蔭が強すぎて甲子園がつまらないって言ってる人いるけど、その「強すぎ」を実現させてるのは素晴らしい練習の量と質、選手達の努力なのを忘れない方がいい。観客がつまらないなんて選手達に失礼過ぎる》
《絶対的な王者がいる年は、基本的にそのチームをどこがどのように倒すかという視点で見てるけど、その楽しみ方ができるのは王者が絶望的に強いからであって、決して「強すぎてつまらない」とは思わない。むしろ、大阪桐蔭が絶望的に強いからこそ今大会は面白いと思ってる》
《桐蔭が勝つのは、当たり前じゃない 血の滲むような努力の結晶で一勝一勝をもぎ取ってるわけだから、「桐蔭強すぎておもんない」って言ってた人はくそ嫌いだったわ まだ高校生なのにそんなプレッシャーを背負ってプレーして、ほんとすげぇよな》
その強さ故に論争までも呼ぶ“絶対王者”大阪桐蔭。今大会の悔しさをバネにまた来年春により強くなって帰ってくることだろう。