■3度の世界一のため、私生活の幸せを後回しか
グラウンドでは厳しい徹さんだったが、自宅では父子のつながりを重視していたそうだ。
「大谷選手が小学生のころは、練習が終わると一緒に風呂に入ったそうですが、徹さんは野球の話題に触れず、あえてたわいない話をするように努めていたそうです。必ず一家そろって夕食をとることも重要視していたといいます」(前出・スポーツ紙記者)
全身全霊で子供たちに接した徹さん。前出・在米ジャーナリストは大谷の心境をこう推察する。
「大谷選手は敬愛するお父さんの背中を追っています。二刀流を貫き『人生設計シート』に掲げた“3度の世界一”を獲得するため、家庭を持つことは後回しにせざるをえなかったのではないでしょうか。なぜなら、彼はお父さんのように、結婚相手はもちろん、生まれてくる子供にも全力で向き合いたいからなのでしょう」
LAの広告代理店MIWの代表を務める岩瀬昌美さんはこう語る。
「今年の総収入がメジャーリーグ新記録となる6千500万ドル(約86億5千万円)と伝えられる大谷選手ですが、メジャーで達成したいことはまだまだあると思うんです。私の代理店ルートからは、LAの有名人がどのレストランで誰といたか、といった話が日常的に入ってきますが、大谷選手のそういった情報は完全にゼロです。オフがほとんどないのでしょう。
野球でのすべての目標を達成し、本人が人生設計シートに書いていた12年後の40歳の現役引退の後でも、結婚や子育ては遅くないと考えているのかもしれません。将来的には、大好きな子供たちのためにも、リトルリーグの監督やコーチといった役目も引き受けるかもしれませんね」
大谷は、前出の『Number』のインタビューで、「ささやかな幸せを感じる瞬間を教えてください」という問いにこう答えている。
《何でしょうね。ささやかな幸せを感じるまでもなく、今は日々に満足していますね。今日もしっかり練習できたし、これから帰ってごはんも食べられるし……(中略)。食べられるという平穏な一日に満足しているんです。夜になったら寝心地のいいベッドがあってそこで寝られるし、明日が来ればまた練習できるし……そういう、何の不安もなく暮らせる感じというものに満足しているんですよね。それがささやかではない幸せなんだと思います》
野球漬けの毎日に満足している大谷。すべての望みをかなえることはできない。12年後の引退まで、二刀流に専念することが“世界一”の信念なのかもしれない――。