「大谷選手の今回の右肘の手術は人工靱帯で補強する最先端の手術で総費用は3千万円ほどだったようです。右肘の不調に加えて脇腹も痛めているため、上半身はあまり動かせませんが、術後もマシンを使った下半身のトレーニングは毎日続けているそうです」(在米スポーツライター)
大谷翔平選手(29)が所属するエンゼルスの全日程が10月1日(現地時間)に終了した。
9月19日に2度目となる右肘の手術を受け、シーズン最終盤は出場できなかった大谷だが、44本塁打を記録。日本人初のホームラン王に輝いた。大谷は球団を通して《MLBでこれまで活躍された偉大な日本人選手たちのことを考えると大変恐縮であり、光栄なことです。この目標を達成するのに協力してくれたチームメート、コーチングスタッフ、ファンに感謝します》とコメントした。
だが、大谷はその記録に満足することなく、すでに来季に向けて始動していた。前出の在米スポーツライターは続ける。
「来季にまず打者として復帰できるよう、’18年のトミー・ジョン手術時と同じ執刀医・エラトラッシュ医師が監修した、12週間の特別なリハビリプログラムを手術直後から実践しています。3週間ごとにメニューが替わり、4段階あるそうで、通訳の水原一平さんが常にリハビリに付き合っているとか。
現在は、脳や神経、筋肉の電気信号を活性化することで本来の運動機能を呼び戻す特殊な療法を行っていると聞いています。筋肉量を測定し、損なわれた箇所を中心に、服を着たままで30分前後、磁気を使って筋肉を活性化するものだそうです」
リハビリ時の食事も大事だという。
「これまでは日ハム時代からお世話になっている栄養士さんに作ってもらっていたメニューで基本的に過ごしていました。それが今回のケガを契機に、現在は米国人の新たな管理栄養士さんのもと、12週間後の検査までは基本の食事のメニューを作ってもらっているそうです」(前出・在米スポーツライター)
右肘手術後の療養食について、100例以上のトミー・ジョン手術を執刀してきた整形外科専門医でベースボール&スポーツクリニック理事長の馬見塚尚孝氏はこう語る。
「一般的に言えば靱帯はいわゆるコラーゲンを主成分にしています。コラーゲンの合成に関係する栄養素としては、タンパク質と鉄、そして、その鉄を還元するビタミンCと亜鉛が必要というのがわかってきています。そのため、タンパク質が多く、鉄分の多いもの、レバーや牛肉が効果的です。カツオやマグロといった赤身の魚もいいでしょう。
また、コラーゲンをしっかり成熟させるためにもビタミンCが必要です。患者さんには柑橘類の摂取を勧めています。最後に亜鉛ですね。ケガした組織が修復するときには細胞が増えなければいけません。その際、亜鉛が不可欠だと判明しています。レバーには亜鉛が豊富に含まれているのです」
靱帯の損傷にレバーは“最強の療養食”のようだ。