■真美子さんの実母も食育にこだわりが
三訓目は夫婦げんかについて。前出の大谷家の知人は言う。
「大谷家では『子供の前では絶対に夫婦げんかをしないこと』を夫婦の決め事にしていたそうです。“けんかをしても、翌日に持ち越さない”ようにしていたと。アスリートはその日の精神状態が直接、結果に結びつきますからね。真美子さんもすぐ納得できたはずです」
四訓目は「家族の基盤はリビングにある」という考え方だ。先の『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』の中で、加代子さんはこうも語っていた。
《我が家は玄関からリビングを通らなければ自分の部屋に行けないので、いつも家族が見えるところにいました。みんな、ここでご飯を食べて、ここで勉強して、ソファに移動してテレビを見て、そして寝る感じでした》
《翔平もそう。いつもソファにいて寝転びながらボールを天井にぶつけないように投げて捕ったり》
真美子さんの知人は言う。
「ふだんから“運気が上がる”よう、昨年から大谷選手と一緒に住み始めた自宅のリビングには、まつぼっくりを置くようになりました。《家族の中心はリビング》とする翔平選手のお母さんからの影響もあったのだと思います」
そして最後の五訓目が、大谷家の“食育”についてだ。3年前のインタビューで大谷は自炊生活についてこう語っていた。
《ブルーノってわかります? 何でも作れる感じのホットプレートなんですけど、それでいろいろと作っていました。魚介類が冷蔵庫にあれこれと入っていたので、パエリアとか》(『Number』’21年2月18日号)
前出の大谷家の知人によれば、大谷家の食卓にはホットプレートが頻繁に登場していたという。
「食が細かった幼少期の大谷選手のために、加代子さんは“なんとか楽しく食べられる雰囲気をつくろう”と苦心していました。それで思いついたのが、ホットプレート料理。週末は家族そろってホットプレートを囲むことで会話も弾み、知らず知らずのうちに、小食な大谷選手もたくさん食べられるようになったといいます」
真美子さんも大谷家の考え方に共鳴していたようだ。
「彼女は大学のバスケットボール部時代からみんなでワイワイ食事をする機会が多く、ホットプレートでの料理に慣れ親しんでいます。実業団時代の合宿での食事で、大皿料理やバイキングのときには彼女は後輩の分まで率先して取り分けていましたね。後輩から親しまれていたのもそんな気さくな面があったからだと思います」(前出・真美子さんの知人)
真美子さんの実母も、食育にこだわっていたという。
「彼女のお兄さんは幼いころからラグビーをしており、体を大きくするため、太りやすい献立が多かったそうです。そのため高身長の彼女向けに、お母さんは高タンパクでカルシウム豊富なメニューを心がけていました。そんな家庭で育った真美子さんでしたから、加代子さんから教わったレシピやアドバイスも最大限生かしていると思います。
真美子さんは大谷選手を食事でもサポートするため、現在アスリートフードマイスター取得を目指し、料理の研究を続けています。最近、大谷選手はスイーツにハマり中。高校時代からチョコバナナクレープが大好物と聞いた彼女は、ホットプレートで作れる、そば粉を用いたグルテンフリーのガレットスイーツを考案しているそうです」(前出・真美子さんの知人)
大谷家の“ホットな絆”は笑顔の食卓で継承されていく――。