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(写真・神奈川新聞社)

横浜市金沢区の横浜市漁業協同組合柴支所(組合員数120人)のホタテガイ養殖が軌道に乗ってきた。3年目を迎えて、身が大ぶりに育つことが分かり、市場出荷や漁港外での販売も見据える。13日には柴漁港(同区)で「ホタテ浜焼き会」を開き、横浜育ちの逸品をお披露目する。

 

同漁港はアナゴ、スズキ、タチウオ、タイなど年間約484トン(2014年度)の水揚げを誇り、65隻ほどの船がある。かつてはシャコ漁中心だったが漁獲量が激減し、06年から2度にわたり禁漁。再開後は漁期や数量を限定し資源保護に努めている。

 

同支所は、漁獲量が減る冬季に代替となる海産物を模索し、10年ほど前にワカメ養殖を復活させた。さらにマガキやタイラガイ養殖も試したが、夏場に水温が高くなりうまくいかなかった。2年前、県水産技術センター(三浦市)の指導を受けながら、冬季のホタテガイ養殖を開始した。

 

ホタテガイの養殖は海水温の低い北日本に限られていた。「東京湾で育つのか」という懸念もあったが、冬季なら可能性があると判断、13年11月に試験的に始めた。

 

初年度は青森県内の漁協から殻の長さ約8センチの陸奥湾産稚貝500枚を購入。仮死状態のままトラックで輸送し、低温の海水で30分間慣らした後、海水を段階的に注入し漁場水温まで上昇させた。稚貝の回復を確認した後、かごに入れ、柴漁港近くの海中に沈めた。

 

5月上旬の取り上げ時に数枚腐敗していたものの、平均の大きさは目標の10センチを超える10・9センチに成長。「貝柱に栄養分が集まり、おいしい。他産地との差別化も可能」と同センターによる味の評価も高かった。

 

2年目は2千枚にし、やや大きめの10センチ大の稚貝も加えた。陸奥湾とは異なり春先でも成長が止まらないため、両サイズとも大きく成長。漁港内の食堂で刺し身や磯辺焼きにして提供し、直売所でも販売。「香りが良くて、好評だった」という。

 

3年目の今シーズンは、出荷時期が長く値段も高い10センチ大の稚貝に絞り、4千枚を養殖。水温に慣らす時間を長くし、海中投入時の生存率を向上させた。育成状況は良好だという。

 

13日は刺し身や炭で網焼きしたホタテなどを販売し、ホタテガイの釣り体験コーナーも設ける予定。今後も漁港内の食堂で提供し、直売所でも販売する。

 

同支所の宍倉昇支所長(66)は「東京湾の栄養分をたっぷり含んだホタテガイを、横浜のブランドとして育てていきたい」と話す。問い合わせは、同支所電話045(701)8182(平日のみ)。

 

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