(写真・神奈川新聞社)
ビーチサンダル専門店げんべい商店(葉山町)で店長を務めていた中島広行さん(43)が、新会社「九十九(TSUKUMO)」(東京都台東区)を設立、新たなブランドづくりに挑んでいる。安価な海外製品が流通する中、日本製の履きやすさを追求した。「日本のものづくりが見直されるきっかけになれば」と中島さん。将来的には、湘南にブランドの発信拠点を置く構想を描いている。
新会社は2015年秋に本格稼働。生産は、神戸市にほど近い兵庫県加古郡稲美町にある工場が一手に担う。
一般に流通するビーサンの多くは、つま先からかかとまでが同じ厚さの「フラット型」。これに対し九十九は、つま先が低く、かかとが高い「テーパー型」を採用。大量生産には向かないが、歩きやすさを追求したという。鼻緒は天然ゴムとし、日本人の足になじみやすいよう左右の長さを変えるといったこだわりも。
ビーサンの台の部分は19色と豊富に取りそろえた。現在はインターネット販売のみで、1足1200円(税別)。既に流通、アパレル各社などが関心を寄せているといい、16、17日に都内で開催した展示会には多くの関係者が訪れた。「今後、さまざまな会社とのコラボを展開、社会貢献活動にも取り組みたい」と言う。
生産を担う工場は、1995年の阪神大震災で被災。震災の影響で、ビーサンの台を作るのに必要となるシートを製造する会社が廃業したこともあり、製造中止に追い込まれていた。しかし、国産のビーサンにこだわった中島さんが説得、製造再開に至った。現在は、九十九の製品のみを手掛けており、スピードと小規模生産が強みだ。
中島さんは「神戸はビーサン発祥の地。当面は神戸が製造の拠点、東京が営業の拠点だが、将来的には湘南エリアに店を構えたい」と話している。問い合わせは、同社電話078(600)2600。