(写真・神奈川新聞社)
余震が収まらず、交通網の寸断が続く混乱した状況が、支援の妨げとなっている。熊本県益城町で震度7を観測した最初の地震から18日で5日目となったが、二次災害が懸念される被災地では、現時点で一般ボランティアの受け入れ準備が整っていない。神奈川から現地に向かい始めた専門機関やノウハウのある支援グループも、被災者のニーズにどれだけ応えられるか手探りの状況だ。
大勢の避難者が身を寄せている益城町総合運動公園へ18日午前、「被災地の子どもを支援する神奈川市民の会」(代表・田口努横浜YMCA総主事)のメンバー2人が車で向かった。第1陣として、食物アレルギーのある子ども向けの缶詰や電池不要のソーラーランタンなどを提供。被災者のニーズ把握の場として、カフェの開設も視野に入れる。
東日本大震災を機に立ち上がった同会の秦好子事務局長は言う。「現地とつながりがあり、条件が整っていたからこそ、今回もボランティアができる」。同運動公園の体育館は地元の熊本YMCAが指定管理者。地元の状況について独自に情報を集めた上で他の団体と役割を分担し、ニーズが高いのに後回しにされがちな部分に目を配ることにした。
18日は日赤神奈川県支部(横浜市中区)も、医師や看護師ら10人の救護班を派遣した。フェリーで19日朝に北九州に入るが、「現地は情報が錯綜(さくそう)しており、具体的な活動内容はまだ決まっていない」と、班長を務める横浜市立みなと赤十字病院の中山祐介救急部長。他の医療チームと連携し、地元の医療機関に活動をどう引き継ぐかが課題という。
災害対策支援本部を同日設置した県も被災地の状況を考慮し、要請がなくても積極的に行動する「プッシュ型支援」は行わない方針を確認した。本部長の黒岩祐治知事は「支援合戦は控えたい。本当に現地が必要なものに的確に応えたい」と強調。「一声かかったときにすぐに動き出せるような態勢を整える」と述べ、県内市町村とも情報共有や連携を図るという。
全国社会福祉協議会の担当者は「現在は人命救助が優先。余震による建物倒壊で二次災害の恐れもある。問い合わせを多く受けているが、ボランティアはまだ控えてほしい」と説明。一方で「ボランティアセンターの準備は進めており、設置場所や運営体制の準備が整い、余震が収まれば開設できる」との見通しも示し、今後の長期的な支援の必要性を訴えている。全社協はホームページ上に特設サイトを設け、ボランティア情報などを発信している。