(写真・神奈川新聞社)
今年30周年を迎えた野毛大道芸の事務局と九州出身の大道芸人が9日から11日にかけ、熊本地震で被災した同県の避難所などを訪れひとときの笑いを届けた。かつて同事務局が熊本市内の春祭りに呼ばれ、大道芸イベントをプロデュースしていた縁が発端となった交流だ。
熊本入りしたのはケチャップリンたび彦さん、三雲いおりさん、Hi2(ヒッツ)さんの3人と事務局メンバー。芸人はいずれも熊本の隣県、宮崎の出身だ。仮設住宅や避難所、熊本城近くの広場など5カ所を訪問し、芸を披露した。
6月に新設されたばかりの甲佐町の応急仮設住宅では、20人ほどの住民が集まった。輪投げや皿回しにも参加してもらい、芸人も汗だくで盛り上げた。場内は拍手と笑顔で包まれ、住民の女性は「こんなに大きな声で笑ったのは久しぶり」と喜んだ。
かつて数年間、現地の春祭りに野毛大道芸が事務局ごと呼ばれていたことがあり、同事務局にとって「熊本は地方の中でも最もつながりが深い場所」。4月に横浜で開催した野毛大道芸でも義援金を募り、約20万円を寄付している。
地震発生から3カ月。ベテラン芸人の三雲さんは、「避難所にまだ大勢の方がいるのを知ってびっくりした。皆さん一見楽しそうに見えたが、長いスパンのケアが必要だと感じた」。同行した同事務局の田井昌伸実行委員長も「被災地は無事だった場所とひどく被災している場所の落差がすごかった。現地の人は忘れられるのが怖いと思う。実際に見てきた人間として、これからも発信を続けたい」と話していた。
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