(写真・神奈川新聞社)
リオデジャネイロ五輪の体操男子団体総合で日本が3大会ぶりの金メダルをつかんだ。初の五輪となった岸根高出身の白井健三選手も、跳馬と床運動で圧巻の演技を披露して大きく貢献した。19歳にして頂点を極めた体操界のホープを支え続けてきた父、鶴見ジュニア体操クラブ(横浜市鶴見区)を経営する勝晃さん(56)が神奈川新聞社に思いを寄せた。
健三の小さい頃からの夢がかなった。本当にうれしい。体操のメダルはやはり個人よりも団体。健三には少しでもその力になってほしいと思っていた。
思い返せば小さい頃はやんちゃな野生児だった。言うことを聞かず、あちこちをふらふら。ただ、観察能力はずばぬけて高かった。
映像で見た内村(航平)君のまねをし、高難度の技をマットの上ですぐ決めていた。見ただけで全てができる。だから、彼に対して正論はいらなかった。
ひねり技について研究している大学教授が何人かやってきたが、3回ひねりはどうやるのと聞かれると、健三は「ぐっとやると3回、ぐぐっとやると4回ひねりだよ」と答えた。感覚の世界。それを深いところでお互いに分かり合えるのが内村君だった。
2013年に種目別床運動の世界王者になり、自分の理論の正しさを結果で証明した。それでも、健三は「まだやることがあるから体操は楽しい。他にも5種目もあるから」と言ってのけた。体操に床しかなければ、彼は行き詰まっていただろう。あれだけ人の言うことを聞かなかった子がここまでになった。体操という競技は人をどんどん変えていってくれる。
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