(写真・神奈川新聞社)
忘年会シーズンの到来に合わせ、県警が飲酒運転の取り締まりや防止に力を入れている。飲酒絡みの人身事故の発生件数は減少傾向にあるものの、事故を起こした運転手の呼気からは、より高い濃度のアルコールが検知されるケースが増加。県警交通指導課は「濃度が高いほど判断能力や運動能力が低下する。『飲んだら乗らない』を徹底してほしい」と話している。
2日午後8時すぎ。横浜市金沢区泥亀2丁目の国道16号で検問が行われた。全国一斉の飲酒運転取り締まりに合わせた取り組みだ。
金沢署員の誘導に多くのドライバーが素直に従う中、検問を見て慌てて同乗者と運転を代わる若い男の姿があった。「もともと運転していたのは後ろの方ですか」「話のつじつまが合わないのですが、免許証を見せてもらってよろしいですか」。署員の問い掛けに言葉を詰まらせる2人。運転していた男は道交法違反(無免許)の疑いで現行犯逮捕された。
全国一斉の飲酒運転取り締まりで、県警は2日夜から3日早朝にかけて県内169カ所で検問を実施。道交法違反容疑で210件(飲酒5、無免許3、最高速度違反115、携帯電話使用など20、整備不良11、その他56)を検挙した。
近年、交通事故の発生件数自体が減っていることもあり、2003年に776件だった県内での飲酒絡みの人身事故の発生件数は、15年は153件まで減少。今年も10月末現在で113件と減少傾向が続く。一方、事故を起こした運転手から検出される呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25ミリグラム以上だった割合は、14年までは26~37%にとどまっていたが、15年には45%に上昇。今年も10月末現在で46%と高いままだ。
県警は「『飲酒運転はだめ』という意識は着実に広がっている」としながらも「大量に酒を飲んで運転し、事故を起こす人が増えている」と危機感を強める。
年末にかけて、終電後の検問などを通じて長時間の飲酒後に運転するケースを重点的に取り締まるとともに、飲食店にも車や二輪車などでの来店者に酒類を提供しないよう呼び掛けていく考えだ。