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(写真・神奈川新聞社)

 

メキシコから横浜港に陸揚げされたコンテナから昨年、覚醒剤約230キロが見つかり、県警が麻薬特例法違反の疑いで、ともにメキシコ国籍で職業不詳の男(32)と女(34)の2人と、日系ブラジル人の男4人の計6容疑者を逮捕していたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。末端価格は約161億円に上り、県警が一度に押収した量としては過去3番目、全国の警察が昨年押収した量としては2番目の多さだという。

 

県警は国内で販売する目的で密輸されたとみて、3月上旬にも覚せい剤取締法違反の疑いで、このうち起訴されたメキシコ人の男女2人と日系ブラジル人の男(49)の3人を再逮捕する方針で、密輸組織の関与など全容解明を進めている。

 

捜査関係者によると、昨年7月下旬、メキシコから横浜市中区の南本牧ふ頭に陸揚げされたコンテナの中に覚醒剤があるのを、横浜税関の職員がエックス線検査で発見。中をくりぬいた金属製パイプ(高さ約80センチ、直径約20センチ)46本に隠されており、中身を入れ替えて行方を追跡したところ、埼玉県内の資材置き場に運ばれた。

 

パイプの大部分はその後、さらに相模原市緑区の倉庫に運ばれ、県警は同年12月4日、現場にいたメキシコ人の男女2人を逮捕。

 

県警の調べに対し、2人は当初「中身は知らなかった」と容疑を否認していたが、その後は「違法な薬物かもしれないと思っていた」と供述している。その後同月12日までに、残る4人も逮捕した。

 

■密輸量大口化 高価格の日本「最終目的地」

 

警察庁のまとめなどによると、全国の警察が昨年1年間に摘発した覚醒剤密輸事件の押収量は1トンを超え、2002年以降で最多だった13年の816・1キロを大幅に上回る見通しとなっている。

 

13年を除き、11年以降は300~400キロ台で推移。昨年の急増は、神奈川県警の230キロ以外にも、沖縄県警が5月、密輸しようとした台湾人が乗ったヨットから一度の押収量として過去最多の597キロを発見、警視庁も150キロ超を2度押収するなど、全国で大型の摘発が相次いだためだ。1件当たりの密輸量の大口化について、ある捜査員は「日本は覚醒剤の価格が高く、需要も多いため『最終目的地』として目指してくる。一発勝負。成功すれば大もうけ」とその背景を明かす。

 

県警が昨年1年間に摘発した覚醒剤の密輸事件は6件。台湾から横浜港に来た船の貨物コンテナの中から50キロが見つかったほか、国際郵便としては過去最多の36キロが押収された。

 

捜査関係者によると、体に巻き付けたまま航空機に乗るといった「運び屋」が減る一方、国際郵便を利用するなど手口が巧妙化。「運び屋は捕まりやすい。逮捕されにくいように、一度郵便局留めにし、様子を見て受け取りに行ったり、別の場所に転送させたりする手口もある」(捜査関係者)。今回も発見から逮捕までに4カ月以上を要したが、「警戒心が強く、なかなか姿を現さなかった」(同)という。

 

また1グラム当たりの末端価格は09年は9万円だったが、最近は7万円に“値崩れ”。捜査関係者は「摘発されているのは一部。供給過多となっており、安い値段が維持されているのでは」と分析している。

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