(写真・神奈川新聞社)
ムラサキウニにキャベツを食べさせて蓄養する研究が本格化し、味の改良などが行われている。磯焼けの原因となり、駆除対象となっているムラサキウニの餌に、農業残渣(ざんさ)を活用し、本年度からは産官学が連携して商品化を目指す。28日に関係者を招いた試食会が行われ、味の評価は上々だった。
県水産技術センター(三浦市三崎町城ケ島)は2年前からキャベツなどを使った蓄養実験に着手。昨年度は、実験前に体重の2~3%だった身の部分が、約2カ月で平均12~13%、最大約17%になった。さらに、主要な苦み成分は市販で流通する食用ウニより平均で約4分の1に抑えられることも分かったという。
京急油壺マリンパーク(同市三崎町小網代)で開催された試食会では、同センターの臼井一茂主任研究員が本年度の実験として、水流をつくってウニに餌が行き渡るようにしている点や、味の改良に向けてキャベツのみ、キャベツと海藻の組み合わせなど5つの区画に分けて飼育している点などを説明した。
地域連携として、同パークは展示による広報活動、県立海洋科学高校(横須賀市長坂)は食品残渣も活用した飼育などをそれぞれ担うことも紹介。商品化に向けて、臼井主任研究員は「まずは三浦半島の地域限定ブランドとして流通し、観光客に来て食べてもらう形で広めていきたい」と意気込みを語った。
会場には、餌がキャベツだけだったり、キャベツと海藻を組み合わせたりした生のムラサキウニを提供。関係者は味の違いを楽しみ、「えぐみがない」「食べやすい」など感想を述べた。
飲食業の川股竜二さん(49)は「将来的には年間を通じて入荷できるようになるといい。地元の食材として提供できればお客も喜ぶ」。漁業の石橋英樹さん(46)は「駆除対象だったものが商品になれば、漁師としてもうれしい。観光振興にもつながれば」と期待していた。