(写真提供:エクスポート/神奈川新聞社)
3年に1度開かれる現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」の4日の開幕に合わせ、会場の一つである横浜赤レンガ倉庫1号館(横浜市中区)に、同展公式グッズなどを取り扱う「SHOPトリエンナーレ2017」が同日オープンする。横浜を拠点とするグラフィックデザイナーやイラストレーターなど46組が販売する商品には、地域の中小企業とコラボレーションしたものも。同ショップは、商品の販路拡大を模索する試みでもある。
プロダクトデザイナーの伊東祥次さんが手がけた、軽く透明感のある壁掛け時計「Blister Clock」は、生鮮食品のトレーを生かした商品。横浜市文化観光局による市内中小企業とクリエーターをつなげる事業「texi yokohama」を契機に、同市瀬谷区のプラスチック製品製造、小林製作所が持つ真空成形技術との協力で誕生した。クリア、オレンジ、ブルーなどの5色展開で、二つのサイズがある。
ブランディングデザイナーの小崎直利さんも、技術力がある地域の中小企業と組んだ。販売しているのは、ヘアゴム製造のトップ企業でシェア6割を誇るイノウエ(相模原市緑区)の組みひも技術で編み上げた横浜カラーの「組ヒモブレスレット」。多彩な青の濃淡と白色を基調とした爽やかな商品にはシンプルな金属のチャームも付き、男女問わず使える一品となった。
このほか、ショップでは財布や手ぬぐいといった生活雑貨、アクセサリー、文房具などの作家手作りのものも販売され、各クリエーターの制作の意図や、商品に込めた思いなども紹介する。
ショップには、クリエイターのビジネス機会を創出する、という狙いもある。クリエイターには、販路開拓に苦戦したり、活動の中心エリア以外との交流が薄く、ものづくり企業などの協力者と知り合うきっかけがないといった悩みを抱える人も少なくないという。
ショップの運営事務局、エクスポートの田中あづささんは「横浜デザインシーンのスタートにしようと企画された。ここから新たな一歩が生まれれば」。伊東さんは「手作りではなく、量産し適正な価格で売るというビジネスの形を、企業と共に作っていくことが重要。国内外から多くの来場者が見込まれる場所で、クリエイターと企業の取り組みを知ってもらうことで、裾野が広がることを期待している」と話している。