(写真・神奈川新聞社)
川崎市は、市内で子どもと若者がいる世帯の生活実態や健康状態などを把握する独自の「子ども・若者生活調査」を実施し、分析結果を公表した。国が相対的貧困の指標としている「貧困線」を下回る世帯は全体の約7%。こうした世帯では、文具や教材が買えなかったり、虫歯を治療していなかったりといった事態が高い割合で生じていることが明らかになった。
市は今年1~3月、子ども本人や保護者、児童福祉施設などの職員を対象にアンケートとヒアリング調査を実施。学識経験者の意見も踏まえ、結果を分析した。
0~23歳の子ども・若者がいる6千世帯を無作為に抽出したアンケートでは2,635世帯が回答。可処分所得額が貧困線を下回る世帯は全体の6.9%だった。ひとり親の世帯では42.9%に上った。
貧困線を下回る世帯のうち、過去1年間で経済的な理由で電気料金などが支払えない事態が発生したという世帯は2割以上。子どもが必要な文具や教材を買えないことが「よくあった」「ときどきあった」とする世帯も25.6%だった。
このほか、所得水準が低い世帯ほど「治療していない虫歯が1本以上ある」とした割合が高く、小学生以上では夕食を子どもだけで食べることが「多い」「ほぼ毎回」と答えた割合も高かった。
生活保護と児童扶養手当受給世帯の保護者や子どもなどを対象に支援ニーズも調査。学校での学習内容について「分からない」とした割合は、生活保護受給世帯が高く、児童養護施設に入所する子どもも高かった。進学や自立に関する項目でも差が出ている。所得が低いほど、「経済的な理由により進学断念・中退の可能性がある」とした保護者の割合は高く、貧困線を下回る世帯の全体では40.9%を占めた。
将来の夢や目標も「持っていない、持ちたいと思わない」と答えた割合が、保護受給世帯や施設の子どもほど高かった。
児童相談所や施設職員などへのヒアリングでは、子どもや保護者が抱える課題の個別事例を把握。経済的な問題以外に、「保護者に虐待やDV被害の経験がある」「食事や睡眠など基本的生活習慣を身につける養育力が家庭にない」といった事例が挙がった。
市は「所得が低いことと不安定な就労・生活との関連性が把握された。所得が低い世帯では、保護者の孤立・不安や教育費の負担など、悩みが大きくなっていることが課題」と分析。結果を基に子どもの貧困に関わる対応策を検討する。