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(写真・神奈川新聞社)

 

■群馬や長野から→遊泳中の事故増

関東地方の“海なし県”で暮らす人たちが海水浴中に溺れるなどの事故が増えている。海上保安庁がまとめたデータによると群馬県民の事故が目立つ。そのため、同庁や国土交通省などは、海なし県民たちに海で安全に楽しんでもらおうと取り組みを進めている。

 

群馬と栃木両県の小中学生計44人が8月下旬、横浜市中区の海上保安庁横浜海上防災基地を訪れた。子どもたちは海難救助で活躍する潜水士が訓練するプールを見学。救難資機材の着用も体験し、海の安全を守る仕事の大変さを実感した様子だった。

 

「110番と119番を重ね合わせると、海の警察と消防の役割を併せ持つ海上保安庁の緊急電話118番に見えますね。海の『もしも』は118番と覚えてください」

 

海なし県を含めて9都県を管轄する第3管区海上保安本部(横浜)の職員はこう教え、泳ぐ際にはライフセーバーがいる海水浴場を選ぶといった注意を促していた。

 

このプログラムは、普段海に触れ合う機会のない海なし県の子どもたちを対象にした「海と日本プロジェクト 関東海っ子塾2017」。国交省関東運輸局や関係団体などでつくる実行委員会の事業で、3年目を迎えた今年は山梨、埼玉、群馬、栃木の4県から小中学生105人が参加した。

 

同局の内山彰敏旅客課長は「海を知らない子どもたちに横浜港などの海事施設で海に親しんでもらえる貴重な機会。夏の恒例行事にしたい」と意欲をみせる。

 

海保が海なし県対策に力を入れる根拠の一つとして、第9管区海上保安本部(新潟)による興味深いデータがある。管内の新潟など3県で夏季の遊泳中の事故者は過去5年間で計99人。そのうち群馬県からが21人と最多だった。長野(7人)、岐阜(6人)も上位に名を連ねる。

 

「潮や波の変化など、プールとは違う海ならではの怖さを知らないのでは」。9管の担当者はこのほど群馬県に出向き、海難防止を呼び掛ける異例の安全啓発活動を行った。

 

担当者は「長時間運転した後にビールを飲み、海水浴をして溺れるという事故も過去にある。群馬県は3管管内だが、海上保安庁が一丸となって海難防止に全力を注ぎたい」と話した。

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