(写真・神奈川新聞)
捨てることが苦手な高齢者を中心に、物の整理の方法を教える「断捨離(だんしゃり)」の講座が川崎市内で今月から来月にかけて相次いで開催される。「いつか使えそうだから」と捨てられない人や、介護中の親が抱え込んだ荷物の整理に悩む人などケースは多様だが、物の整理ができなくなった認知症の高齢者など、地域の支援が必要な事例もあると専門家は指摘する。
同市幸区の市産業振興会館で今月5日に開かれた「高齢者のための断・捨・離-整理術」(市高齢社会福祉総合センター主催)では、遺品整理の専門家の石見良教(よしのり)さんが講師を務め、約120人が聴講した。
石見さんは、高齢で亡くなる人の遺品は平均で3トンに上り、遺族が整理に困る実態を紹介。自分が亡くなるときや要介護状態になったときなどに備え、「荷物は1・5トンにまで減らす必要がある」と訴え、具体的な方法を伝授した。
また1人暮らしの高齢者が認知症になり物の整理ができず、居室が「ごみ部屋」と化すケースが急増し、その整理業務の件数が遺品整理を上回ったと明かした。わが家の整理はもちろん、「近隣で部屋の汚れた人を見掛けたら、すぐに地域の福祉関係者に連絡を」と呼び掛けた。市内の主婦(67)は「人ごとではない。夫と一緒に、本気で整理に取り組みたい」。
高津区の市男女共同参画センターでは来年1月25日午前10時から、トークサロン「高齢者の断!捨!離!」が開かれ、区内の溝口地域包括支援センター職員の丸山美香さんが講師を務める。
「終活」の一環で荷物を整理したいと考えている人や、介護している親の大量の荷物を整理できず困っている人など、地域で支援活動を行う中で出合った事例を報告した後、参加者を交えて意見交換する。
定員は先着40人で、申し込みは12月25日から。受講料は無料で、保育もある。同センターは「高齢者だけでなく、高齢の家族がいる人なども歓迎する」と参加を呼び掛ける。問い合わせ・申し込みは、同センター電話044(813)0808。