(写真・神奈川新聞)
茅ケ崎市立小学校4年の男子児童(10)が同級生からのいじめが原因で約2年間不登校になっている問題で、学校と市教育委員会がいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認識しながら対応を怠っていたことが20日、分かった。
文部科学省は、同法に基づいた基本方針やガイドラインで「学校、教育委員会が重大事態と判断した場合は調査を行うため、速やかに組織を設ける」と規定。また組織について「弁護士や精神科医、心理や福祉の専門知識や経験を有する者で構成する」としている。
男子児童は2016年4月から不登校となり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。心身に重大な被害が生じたり、長期欠席を余儀なくされたりする重大事態に該当したが、同11月に市教委の第三者委員会の調査が始まるまで、学校と市教委は外部の人材などで構成する組織を立ち上げていなかった。
男子児童の保護者はこの間、第三者委の設置を再三要望したものの、学校と市教委は「学校と市教委が調査している」と回答。校長や教職員の学校関係者でつくる学校内の「いじめ対策委員会」で対応している、としたという。
不登校が始まってから第三者委設置まで半年以上が経過したことについて、市教委学校教育指導課は「当初は学校主体の調査で対応できると考えていたが、最終的に学校や市教委では整理できないと判断した。今振り返れば、もう少し早い段階で判断できればよかった」と話した。
同問題を巡っては、第三者委が今月13日、日常的ないじめと認定する調査報告書を市教委に答申。報告書の中で「(児童が不登校になった)4月の時点で、学校と教育委員会が状況を的確に判断し、第三者委員会による調査が始められていれば、当時の状況やいじめ事実について、より詳細が明らかになったはずだ」と学校と市教委の対応を批判している。
◆いじめの重大事態
いじめ防止対策推進法は、重大事態を▽生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いある▽相当期間欠席を余儀なくされている疑いがある-などと定義。「相当期間」は年間30日が目安だが、一定期間連続して欠席した場合は目安にかかわらず、迅速に調査する必要があるとする。同法は2013年9月に施行。11年に大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのを機に、制定された。