過酷な環境下で衰弱または死滅したサンゴ礁群落=12月21日、石西礁湖(環境省那覇自然環境事務所提供)
石垣島と西表島の間にある国内最大級のサンゴ礁・石西礁湖で起きた大規模な白化現象について、環境省那覇自然環境事務所は10日、「全体が死滅した群体」の割合は70・1%に上り、昨年9~10月実施の前回調査の56・7%より大幅に増加したとの最終調査結果を発表した。同事務所の担当者は「全体が完全に白化している残りの群体も今後死滅することが予想される」と述べ、事態の深刻性を強調した。
環境省は長期にわたり高水温が記録されたことを受け、昨年7月26日~8月17日、9月29日~10月4日、11月28日~12月21日の3回にわたり同海域35地点でサンゴの白化調査を実施した。
今回の調査では「全体が完全に白化している群体」の割合が大幅に減った一方で、「全体が死滅した群体」が初回調査の5・4%から70%超へと増大したことから、時間の経過に伴い「弱っていた群体が死滅に移行した」(同事務所関係者)ことが分かる。全地点の平均白化率は91・4%で、前回調査の97・0%から減少した。季節的に海水温が低下し、一部回復したサンゴがあるとみられる。
琉球大学理学部の中村崇准教授(サンゴ礁生物生態生理学)は7割の死滅を受け、以前のように豊かなサンゴ礁へと回復するには時間を要するとの見解を示す。「白化しても死滅せずに回復する場合もあるが、海水温が高めに推移している期間が長かったことで弱り切ってしまった」と説明し、「今後(残った個体も)高水温以外のストレスがかかると少しの水温上昇でも白化してしまう。赤土流入など陸からの影響を抑える必要がある」と述べた。
環境省は現時点では過去最大の白化現象が確認された2007年との状況比較はまとめていないが、2月に石垣市内である石西礁湖自然再生協議会で過年度の調査結果との比較も併せて実態を報告するほか、今後の対応策についても専門家らを交えて協議する予定。
白化は、褐虫藻(かっちゅうそう)が抜け出し、サンゴの骨格が透けて白く見える現象。短期間なら元の状態に回復するが、長期間続くとサンゴは死んでしまう。